はじめに
2025年の訪日韓国人旅行者数は約900万人を突破し、訪日外国人全体の約25%を占める最大市場となりました。
円安の追い風もあり、韓国からの訪日需要は2026年もさらに拡大する見通しです。
しかし、「韓国人旅行者を集客したいが、何から始めればよいのかわからない」「NAVERやSNSを活用すべきと聞くが、具体的な施策が見えない」と悩む事業者も少なくありません。
本記事では、韓国インバウンド集客に取り組む日本企業・自治体のマーケティング担当者に向けて、韓国人旅行者の行動特性から、NAVER・SNS・インフルエンサーを活用した実践的な集客戦略までを体系的に解説します。
韓国人旅行者の行動特性を理解する
韓国インバウンド施策を設計するうえで、まず押さえるべきは韓国人旅行者特有の情報収集・購買行動です。日本人旅行者との違いを正確に理解することが、的外れな施策を避ける第一歩となります。
情報収集はNAVERとSNSが起点
韓国人旅行者の約70%は、旅行先を決める際にNAVERブログとInstagramを最初の情報源として利用しています。Googleの利用率は韓国国内では約30%にとどまり、旅行情報の検索においてはNAVERが圧倒的なシェアを持ちます。
具体的な情報収集フローは以下のとおりです。

この流れを踏まえると、「SNSで認知を獲得し、NAVERで比較検討を後押しする」という二段構えの設計が必要です。
リピーター比率の高さを活かす
訪日韓国人の約65%がリピーターであり、東京・大阪・福岡といった定番都市だけでなく、地方都市や「穴場スポット」への関心が年々高まっています。初回訪問者向けの基本情報に加え、リピーター向けの深掘りコンテンツ(地方観光、体験型コンテンツ、限定グルメなど)を用意することで、幅広い層にアプローチできます。
「即決型」の消費行動
韓国人旅行者は比較検討期間が比較的短く、SNSで話題になったスポットや商品に対して即座に行動する傾向があります。いわゆる「バズ起点型」の消費行動が顕著であり、SNS上でのトレンド形成が直接的な集客に結びつきやすい市場です。
NAVER攻略:韓国インバウンド集客の土台
韓国人旅行者の情報収集の中心はNAVERです。GoogleSEOの発想だけでは韓国市場にリーチできません。NAVER特有のアルゴリズムとコンテンツ形式を理解した施策が不可欠です。
NAVERブログの最適化
NAVERの検索結果では、公式サイトよりもNAVERブログの記事が上位に表示されることが多い点が最大の特徴です。韓国インバウンド集客において、NAVERブログ運用は「あると良い」ではなく「必須」の施策です。
効果的なNAVERブログ運用のポイント
-韓国語ネイティブによる執筆:機械翻訳の文章は韓国人ユーザーにすぐ見抜かれ、信頼性が大幅に低下します。必ず韓国語ネイティブのライターが執筆・監修する体制を整えてください。
-検索意図に合致したキーワード設計:「일본여행(日本旅行)」「도쿄맛집(東京グルメ)」「오사카쇼핑(大阪ショッピング)」など、韓国人が実際に検索するキーワードでコンテンツを設計します。
-写真・動画の充実:NAVERブログでは視覚的なコンテンツが重視されます。1記事あたり最低10枚以上の高品質な写真を掲載し、動画を埋め込むことでエンゲージメントが向上します。
-定期的な更新:NAVERのアルゴリズムは「最新性」を重視するため、月4本以上の新規投稿を維持することが推奨されます。
NAVERプレイスの活用
飲食店・宿泊施設・商業施設など、実店舗を持つ事業者にとってNAVERプレイス(NAVERマップ上の店舗情報)の最適化は集客に直結します。
NAVERプレイスの最適化チェックリストは以下のとおりです。

NAVER知識iN・カフェの口コミ活用
韓国人旅行者は「実際に行った人の声」を非常に重視します。NAVER知識iN(Q&Aプラットフォーム)で旅行関連の質問に丁寧に回答する、NAVERカフェ(コミュニティ)で旅行体験談を共有するなど、口コミを自然に形成する施策も長期的な集客効果を発揮します。
SNSマーケティング:認知獲得と話題化の仕掛け
NAVERが「比較検討」のチャネルであるのに対し、SNSは「認知獲得」と「話題化」を担います。韓国人旅行者に刺さるSNSマーケティング戦略を各プラットフォーム別に解説します。
Instagram:ビジュアルで「行きたい」を生み出す
韓国ではInstagramが旅行先の発見チャネルとして最も強い影響力を持ちます。特に20〜30代女性の約80%が「Instagramで見た場所に実際に行った経験がある」と回答しており、ビジュアルコンテンツの訴求力は絶大です。
Instagram施策のベストプラクティス:
-韓国語ハッシュタグの活用:일본여행(日本旅行)도쿄카페(東京カフェ)오사카맛집(大阪グルメ)など、韓国語ハッシュタグを必ず含めます。日本語のみのハッシュタグでは韓国人ユーザーにリーチできません。
-リール動画の優先:2026年現在、Instagramのアルゴリズムはリール動画を優遇しています。15〜30秒の短尺動画で施設の魅力や体験の様子を伝えましょう。
-フォトスポットの設計:韓国人旅行者は「映える写真」を撮影してSNSに投稿する文化が根付いています。施設内にフォトスポットを意図的に設計することで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の自然発生を促進できます。
YouTube:長尺コンテンツで深い理解を促す
韓国ではYouTubeの利用率が全年齢層で90%を超えており、旅行Vlogは人気ジャンルのひとつです。「日本旅行Vlog」は韓国YouTubeで常に高い検索ボリュームを維持しています。
YouTubeを活用する際のポイントは以下の3つです。
1.韓国人旅行系YouTuberとのコラボ:登録者1万〜10万人の「マイクロインフルエンサー」は費用対効果が高く、視聴者との信頼関係も強いため、集客への転換率が高い傾向にあります。
2.韓国語字幕の追加:自社で制作した動画に韓国語字幕を追加するだけでも、韓国人視聴者へのリーチが大幅に拡大します。
3.NAVERとの連携:YouTubeで制作した動画をNAVERブログにも埋め込むことで、両プラットフォームでの露出を最大化できます。
TikTok:爆発的拡散力を活かす
韓国の10〜20代を中心に、TikTokの旅行コンテンツ消費が急拡大しています。「15秒で魅力が伝わる」短尺動画は、認知獲得のスピードにおいてInstagramやYouTubeを上回る場合があります。
TikTokでは「日本の○○が韓国で話題」といった切り口のコンテンツが拡散されやすく、商品やスポットの「バズ」を意図的に設計するアプローチが有効です。
韓国インフルエンサーマーケティングの実践
韓国人旅行者の購買決定において、インフルエンサーの推薦は広告以上の影響力を持ちます。ただし、インフルエンサー施策は「誰に依頼するか」で成果が大きく分かれるため、選定と設計が極めて重要です。
インフルエンサー選定の3つの基準

招待施策(FAMツアー)の設計
韓国インフルエンサーを日本に招待し、実体験に基づくコンテンツを制作してもらう「FAMツアー(FamiliarizationTour)」は、韓国インバウンド集客で最も費用対効果の高い施策のひとつです。
FAMツアーを成功させるための設計ポイントは以下のとおりです。
-体験設計:単なる施設紹介ではなく、インフルエンサーが「自分ごと」として楽しめる体験を設計する(例:和菓子作り体験、着物レンタル、地元の居酒屋巡りなど)
-撮影環境の整備:照明・背景・アングルなど、SNS映えするコンテンツが撮影しやすい環境を事前に準備する
-投稿ガイドラインの設定:ハッシュタグ・タグ付け・投稿時期などの最低限のルールを事前に共有しつつ、表現の自由度は確保する
-二次利用の契約:制作されたコンテンツを自社の広告やNAVERブログで二次利用できるよう、事前に契約で取り決めておく
韓国向けプロモーション施策の設計フレームワーク
ここまで解説したNAVER・SNS・インフルエンサー施策を、実際のプロモーション計画に落とし込むためのフレームワークを紹介します。
3段階プロモーション設計

予算配分の目安
韓国インバウンド集客に初めて取り組む場合の予算配分目安は以下のとおりです(月額100万円の場合)。

予算規模に応じて配分は調整しますが、初期段階ではNAVERブログとインフルエンサー施策に重点配分することを推奨します。
この2つが韓国インバウンド集客のROIが最も高い施策であるためです。
成果測定と改善サイクル
韓国インバウンド施策の効果を正確に測定し、継続的に改善するための指標設計について解説します。
主要KPIと計測ツール

PDCAサイクルの回し方
月次で以下のサイクルを実施することで、施策精度を継続的に高めることができます。
1.Plan(計画):前月の数値をもとに翌月のコンテンツテーマ・インフルエンサー候補を選定
2.Do(実行):計画に基づきコンテンツ制作・投稿・インフルエンサー施策を実行
3.Check(検証):KPI達成率を確認し、高パフォーマンスコンテンツの特徴を分析
4.Act(改善):低パフォーマンス施策の原因を特定し、翌月の計画に反映
よくある失敗パターンと回避策
韓国インバウンド集客で成果が出ない企業に共通する失敗パターンを整理します。事前に把握しておくことで、無駄な投資を避けることができます。

まとめ
訪日韓国人の集客を成功させるためには、日本国内のマーケティング手法をそのまま転用するのではなく、韓国市場特有の情報行動を理解したうえで施策を設計することが不可欠です。
本記事の要点を整理します。
-NAVER対策は必須:韓国人旅行者の情報収集の中心はNAVER。ブログ・プレイス・知識iNの三位一体で対策する
-SNSで認知を獲得し、NAVERで比較検討を後押しする二段構えの設計が最も効果的
-インフルエンサー施策はFAMツアー形式が費用対効果が高い
-最低6ヶ月の継続運用を前提に、PDCAサイクルを回しながら改善する
-韓国語ネイティブの関与はすべての施策で必須条件
韓国インバウンド市場は今後も拡大が見込まれる成長市場です。早期に施策基盤を構築した企業が、中長期的に大きな競争優位を築くことができるでしょう。
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韓国インバウンド集客の施策設計・運用はInFluKにご相談ください。韓国市場に精通した韓国人スタッフが、NAVER運用からインフルエンサー施策まで一気通貫でサポートいたします。
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参照元・出典
-日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」2025年年間推計値 https://www.jnto.go.jp/statistics/
-韓国インターネット振興院(KISA)「2025年インターネット利用実態調査」https://www.kisa.or.kr/
-NAVER公式「SearchAdvisorガイドライン」https://searchadvisor.naver.com/
-韓国文化体育観光部「2025年国民旅行実態調査」https://www.mcst.go.kr/
-観光庁「訪日外国人消費動向調査」2025年年次報告書 https://www.mlit.go.jp/kankocho/
-Statista「SouthKorea:socialmediausage2025」https://www.statista.com/
-DataReportal「Digital2025:SouthKorea」https://datareportal.com/reports/digital-2025-south-korea
-NAVER公式「NAVERPlaceビジネスガイド」https://business.naver.com/
-韓国観光公社(KTO)「韓国人海外旅行トレンドレポート2025」https://kto.visitkorea.or.kr/