なぜ今、韓国で「日本」が売れるのか|データで読む日本ブームの構造とビジネスでの乗り方【2026年版】

はじめに|「反日の国」というイメージは、もうデータと合っていない

「韓国市場は反日感情があるから難しいのでは」——韓国進出の相談で、今もよく聞く言葉です。

 

2019年の日本製品不買運動(ノージャパン)の記憶が強く残っているのだと思います。

しかし2026年現在、データが示す韓国はまったく別の姿をしています。韓国人の対日好感度は複数の調査で「調査開始以来の最高値」を更新し続け、訪日韓国人は年間946万人と国別で世界1位。ノージャパンで売上が半減したユニクロは韓国で過去最高益を出し、無印良品は進出20年で最大の売上を記録しました。

いま韓国で起きているのは、一過性の話題ではなく、構造的な「日本ブーム」です。そして構造的であるがゆえに、正しく理解すれば日本企業にとって再現性のある追い風になります。

本記事は、ソウル・釜山に現地法人を構える韓国特化マーケティングチーム「InFluK(インフラック)」が、韓国の世論調査・政府統計・企業決算などの一次データをもとに、日本ブームの実態、それを生んだ構造要因、そしてビジネスでの乗り方までを解説するものです。

 

韓国市場攻略の全体像(NAVER・Kakao・広告・インフルエンサーの使い分け)は

【2026年版】韓国マーケティング完全ガイド」で解説しています。

 

データで見る「日本ブーム」|4つの指標が同時に過去最高を更新している

「ブーム」という言葉が誇張でないことを、性質の異なる4つの指標で確認します。

 

 

好感度:ノージャパンの起点から、わずか6年での反転

東アジア研究院(EAI)などの日韓共同世論調査(2025年)では、日本に「良い印象を持つ」と答えた韓国人は52.4%と、2013年の調査開始以来の最高値を記録しました。ノージャパン運動が広がった2020年の12.3%から4倍以上の急回復です。「良くない印象」は37.1%と過去最低でした。

この傾向は単一の調査ではありません。韓国ギャラップ系の調査でも2025年の対日好感は1991年の調査開始以来の最高水準に達し、韓国リサーチの定期調査でも対日感情温度は2025年を通じて歴代最高の更新が続いています。複数の独立した調査が同じ方向を指している点が重要です。

 

訪日:国民の6割が「日本に行ったことがある」国になった

2025年の訪日韓国人は945万9,600人で過去最高を更新し、訪日外国人全体(4,268万人)の約22%を占める最大市場となりました。人口約5,100万人の国から、年間946万人が日本を訪れている計算です。前述のEAI調査では、日本を訪問した経験のある韓国人は60.7%に達し、2023年の37.3%から2年で23ポイント以上増えました。

「日本」はもはや遠い隣国ではなく、週末に行く旅行先であり、直接体験したことのある場所になっています。旅行消費額も約9,864億円(観光庁調査、2025年)と過去最高を更新しました。

 

消費:旅行が終わっても「日本を買う」行動が続く

韓国統計庁によると、韓国消費者が日本からオンラインで直接購買した金額は2025年第2四半期に1,461億ウォン(前年同期比6.1%増)で、中国・米国に次ぐ第3位です。旅行で知った商品を帰国後に越境ECで買い続ける、という循環が定着しつつあると考えられます。

韓国国内の日本ブランドの業績回復はさらに劇的です。ユニクロを運営するFRLコリアは、ノージャパンの影響で2021年に売上が5,824億ウォンまで半減しましたが、2025会計年度には1兆3,523億ウォン(前年比27.5%増)・営業利益2,704億ウォン(同82.5%増)と過去最高圏の業績に達しました。無印良品も3年連続赤字から一転、進出20年で最大の売上(1,805億ウォン、前年比20%増)を記録し、2030年までに店舗を150店規模へ拡大する計画を掲げています。「日本のイケア」と呼ばれるニトリも2024年に韓国進出を果たし、出店を加速しています。

 

ノージャパンから6年、何が変わったのか|日本ブームの4つの構造要因

数字の裏側にある構造を理解することが、ブームを「使える追い風」に変える前提です。現地の調査・報道から、4つの要因が読み取れます。

 

要因1:「政治」と「消費」の分離という意識変化

韓国リサーチの分析では、韓国人の対日認識は「二分法的な接近から、戦略的・実用的な観点へ転換しつつあり、過去史と現実の利益を分離して判断する傾向が世代とイデオロギーを超えて広がっている」とされています。歴史問題への意見と、日本製品を買うかどうかは別問題——この分離が、ノージャパン以前との最大の違いです。

韓国のファッション業界メディアも、日本ブランド復活の背景を「ブランドを韓日感情の媒介と見なさず、ブランド自体の価値とニーズで購買する消費者が増えた」と分析しています。

 

要因2:MZ世代にとって日本は「コンテンツとライフスタイルの国」

韓国の若い世代にとって、日本との接点の入口は歴史ではなく、アニメ・ゲーム・音楽・食・レトロな街並みといったコンテンツです。訪日旅行の定着により、「目的特化型」の日本旅行(アニメの聖地巡礼、ゴルフ、登山、地方都市の再訪など)が韓国の若年層で定着したと分析されています。体験としての日本が、消費としての日本を牽引する構造です。

 

要因3:円安による圧倒的な「お得感」

円安の長期化により、韓国の消費者にとって日本旅行・日本製品の価格競争力が大きく高まりました。訪日客の急増要因として円安を挙げる分析は多く、旅行だけでなく越境ECでの日本商品購買の追い風にもなっています。

 

要因4:ノージャパンを経たブランド側の努力

見落とされがちですが、日本ブランド側の変化も要因です。ユニクロや無印良品は不買運動の期間中も韓国での社会貢献・地域連携を続け、韓国限定商品の開発などのグローカル戦略で「日本の企業」から「韓国の生活に根ざしたブランド」への転換を図ったと報じられています。ブームは自然発生しただけでなく、信頼回復の投資の上に成り立っている側面があります。

韓国の消費者が「何を信頼し、何で買うか」の基層心理は 「韓国人の購買心理」で詳しく解説しています。

  

何が売れているのか|「日本ブーム」の恩恵を受けやすいカテゴリ

現地の市場動向から、追い風が特に強いカテゴリを整理します。

 

 

食品・菓子・酒類:訪日旅行の「お土産体験」が越境EC・輸入品購買に直結しやすい代表カテゴリです。日本のコンビニ商品・菓子・調味料・ウイスキーや日本酒などは、旅行で味を知った消費者のリピート需要が見込めます。

生活雑貨・ライフスタイル:無印良品・ニトリの躍進が示すとおり、「シンプルで品質が良く、価格が合理的」という日本的な価値提案は、高物価に疲れた韓国の消費者に強く刺さっています。

キャラクター・IP・ホビー:アニメ・キャラクターグッズは若年層の日本コンテンツ消費と直結する領域で、ポップアップやコラボ商品が話題化しやすいカテゴリです。

地方観光・体験:訪日リピーターの増加により、東京・大阪以外の地方都市や温泉・自然への関心が拡大しています。韓国からの検索では「沖縄旅行」が圧倒的に多いという調査もあり、地方の観光事業者・自治体にも機会が広がっています。

訪日韓国人が「何にお金を使っているか」の最新動向は 「訪日韓国人消費トレンド」を参照してください。

食品カテゴリで韓国販路をつくる際の規制・商流の全体像は 「【2026年版】韓国食品の輸入完全ガイド」で解説しています。

 

ただし「日本だから売れる」わけではない|3つの注意点

ブームを過信すると判断を誤ります。押さえておくべき注意点が3つあります。

 

注意点1:政治リスクは消えていない

2019年のノージャパンは、日韓の政治対立が消費行動に直結した実例です。現在の好感度上昇も、両国の政治状況に影響される可能性は残ります。韓国事業の計画には、政治起因の変動リスクを織り込んでおくべきだと考えられます。

 

注意点2:「日本ブランド」は入場券であって、勝因ではない

好感度の上昇は「検討候補に入れてもらえる」ことを意味しますが、選ばれる理由にはなりません。ユニクロや無印良品の復活も、日本ブランドだから戻ったのではなく、価格・品質・現地化の総合力で選ばれ直した結果と分析されています。競合は韓国ブランドを含む全プレイヤーです。

 

注意点3:日本の売り方の直輸入は通用しない

「日本で人気」という訴求は有効な要素ですが、商品名・パッケージ・コミュニケーションを韓国の検索行動と感性に合わせて再設計しなければ、そもそも発見されません。ブームだからこそ参入者が増え、ローカライズの質が差になります。

文化に根ざした翻訳・現地最適化の進め方は 「韓国語ローカライゼーションの成功戦略」で解説しています。

 

日本ブームをビジネスに変える4つの実務戦略

構造を踏まえたうえで、日本企業が取るべき打ち手を4つに整理します。

 

戦略1:訪日接点を「売場」として設計する

年間946万人の韓国人が日本に来ている今、最も費用対効果の高い韓国マーケティングの入口は日本国内にあります。店頭・観光地での韓国語対応、韓国人が「写真を撮って共有したくなる」体験設計、購入商品を帰国後も買える導線(越境EC・韓国内販路)の案内までをセットにすることで、旅行者を継続顧客に転換できます。

訪日韓国人を呼び込み、ファン化する具体策は 「訪日韓国人集客 完全ガイド」で詳しく解説しています。

 

戦略2:「体験の記憶」を検索で受け止める

韓国の消費者は、旅行や SNS で知った日本の商品・場所を、帰国後にNAVERで検索して確かめます。このときブランド名・商品名の韓国語表記で検索して、韓国語のレビューや紹介コンテンツが出てこなければ、せっかくの体験が購買につながりません。NAVERブログ・カフェでのコンテンツ整備と、韓国語での指名検索対策が「ブームの受け皿」になります。

 

戦略3:話題化はインフルエンサーと「日本好きコミュニティ」から

日本旅行・日本文化を発信する韓国のインフルエンサーやコミュニティは、日本ブームの拡散装置です。単発の広告よりも、日本好きのオーディエンスを持つ発信者との継続的な協業のほうが、文脈のある紹介として信頼されやすいと考えられます。

韓国で話題が生まれて広がる構造は 「韓国トレンドの作られ方」で解説しています。

韓国向けInstagramアカウントの運用戦略は 「【2026年版】韓国Instagramマーケティング完全ガイド」で解説しています。

 

戦略4:販路は「越境ECでテスト→現地展開」の二段構え

好感度が高い今は、韓国販路のテストに適したタイミングです。まず越境ECや韓国のECモールで需要を検証し、売れ筋が見えた段階で現地流通やオフライン展開に投資する二段階アプローチが、政治リスクも考慮したうえで現実的です。

韓国ECモールへの出店手順と集客設計は 「【2026年版】韓国越境EC完全ガイド」で解説しています。

 

FAQ|韓国の日本ブームに関するよくある質問

Q1. このブームはいつまで続きますか?

A. 確実な予測はできませんが、世代交代・訪日経験の蓄積・コンテンツ消費という構造要因に支えられているため、短期の流行よりは持続性があると考えられます。一方で政治情勢による変動リスクは残るため、依存しすぎない設計が賢明です。

 

Q2. ノージャパンのような不買運動がまた起きる可能性はありますか?

A. 可能性はゼロではありません。ただし当時と比べ「政治と消費を分離する」意識が広がったことは各種調査に表れており、同規模の運動が再現される環境ではなくなりつつあるという見方が現地では一般的です。リスク管理としては、韓国社会への貢献・現地化を平時から積み重ねたブランドほど影響が小さかった、というノージャパンの教訓が参考になります。

 

Q3. 「日本製」であることは前面に出すべきですか?

A. カテゴリによります。食品・雑貨・ホビーなど「日本らしさ」自体が価値になる領域では有効ですが、それだけでは選ばれません。品質・価格・現地に合わせた体験と組み合わせることが前提です。

 

Q4. 中小企業でもこの追い風を活かせますか?

A. 活かせます。特に訪日客との接点を持つ観光・飲食・小売事業者や、特色ある食品・雑貨メーカーは、大きな投資をせずに「訪日接点の韓国語対応+NAVER・SNSでの発見可能性の整備」から始められます。

 

Q5. 最初に何から手を付けるべきですか? A. 自社のブランド名・商品名を韓国語でNAVER検索してみることをおすすめします。何も出てこない、あるいは意図しない情報が出てくるなら、そこが最初の改善ポイントです。

 

まとめ|ブームの「構造」を理解した企業から順に恩恵を受ける

本記事のポイントを整理します。

  • 韓国の対日好感度・訪日客数・越境EC購買・日本ブランド業績という性質の異なる4指標が、同時に過去最高を更新しており、「日本ブーム」はデータで裏付けられる構造的な現象です
  • 背景には、政治と消費の分離、MZ世代のコンテンツ起点の日本観、円安、そしてブランド側の信頼回復努力という4つの構造要因があります
  • ただし「日本だから売れる」わけではなく、政治リスク・競争環境・ローカライズの3点を冷静に織り込む必要があります
  • 実務では、訪日接点の売場化、韓国語検索の受け皿整備、日本好きコミュニティとの協業、越境ECからの二段階参入が有効な打ち手です

 

この追い風は、韓国の消費者の検索行動・SNS文化・購買心理を理解して初めて成果に変わります。「関心は高まっているのに、自社が韓国で発見されていない」——これが、いま多くの日本企業が直面している最大の機会損失です。

InFluKは、韓国ソウル・釜山に現地法人を構え、メンバーの3割が韓国人、半数が韓国語ネイティブレベルで対応できる韓国市場専門のマーケティング支援チームです。NAVER検索対策、韓国語コンテンツ制作、インフルエンサーキャスティング、訪日韓国人向けプロモーション、越境EC展開の支援まで、日本ブームを貴社の成果に変えるための施策をワンストップでご支援できます。

「韓国市場に関心はあるが、何から始めればいいか分からない」「訪日韓国人のお客様は増えたが、その先につなげられていない」——そんなお悩みがあれば、ぜひ一度InFluKまでお気軽にご相談ください。貴社の商材・フェーズに合わせて、最適な韓国戦略をご提案いたします。

 

韓国マーケティング InFluKのサービスページはこちら:https://influk.bwell.jp/

※本記事に掲載した調査結果・統計・企業業績は、各調査・発表時点の情報です。世論や市場環境は変動するため、意思決定にあたっては最新の情報をご確認ください。

 


 

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