韓国モバイルSEOの決定版|AMP対応からコアウェブバイタルまで実践テクニック集

韓国は世界でも稀な「スマホファースト」を超えて「スマホオンリー」に近い市場です。韓国のスマートフォン普及率は世界最高水準の95%に達し、モバイルインターネット利用者数も継続的に増加しています。通信キャリア3社が5Gエリアを急拡大した結果、韓国の5G通信速度は日本の2倍を超える速さを実現しており、モバイル環境は他国を大きく上回る高速化を達成しています。

この環境は一見”高速対策不要”に思えますが、実際には「速い国だからこそ遅いサイトの離脱がさらに顕著になる」という逆説が働きます。ユーザーは0.1秒単位で表示速度を体感し、読み込み遅延やレイアウト崩れがあると即座に競合サービスへ遷移します。本記事では、韓国市場で成果をあげるためのモバイルSEOをGoogleとNAVERの両面で最適化する方法を、AMP採用可否からCore Web Vitals改善、ローカルプラットフォーム施策まで包括的に解説します。

さらに、日本企業が韓国で成功するには、直訳ではなくローカライズされたコピーライティング、K-fashionやK-beautyなどトレンド用語の即時反映、そしてカスタマーサービスにおけるカカオトーク対応など、検索外部の要素も無視できません。本稿ではSEOを軸としつつ、これらクロスボーダーマーケティングで求められる視点も随所に織り交ぜています。

韓国モバイル検索エンジンの最新動向

 

モバイル検索エンジンシェア

最新のデータによると、韓国のモバイル検索シェアは調査機関により数値が異なりますが、概ね以下の傾向を示しています:

  • NAVER:約46-66%(調査機関により変動)
  • Google:約31-45%
  • その他検索エンジン:約5-8%

 

NAVERとGoogleが実質二大勢力を形成し、日本とは異なる競争構造を生んでいます。NAVERはポータル色が強く、検索結果ページ(SERP)に自社ブログ・カフェ(掲示板)・知識iN(Q&A)・動画サービスをカルーセル表示するため、公式サイトだけでは情報到達率が伸びにくい特徴があります。

一方、Googleは韓国でもCore Web Vitalsをランキング要因にし、グローバルと同一アルゴリズムで評価します。この「ポータル型×検索エンジン型のハイブリッド市場」こそが、韓国SEOの難易度を高める最大要因です。

ユーザー行動トレンド

韓国ユーザーは1日平均4.8時間スマホを利用し、そのうち検索・SNS・買い物アプリが占める割合は約65%です。検索クエリは画像検索比率が高く、”商品名+色” “コスメ名+スウォッチ”のようにビジュアル要素を含む長めのキーワードが伸長しています。また、レビュー文化が発達しているため、UGC(ブログ・インフルエンサー投稿)のSERP占有率が高い点も見逃せません。

AMP対応はまだ必要か

AMPの役割と現在地 AMP(Accelerated Mobile Pages)は、モバイルページを瞬時に表示するためにHTMLタグを制限・最適化するGoogle主導のフレームワークです。韓国の主要メディアの一部がニュース記事のモバイル配信にAMPを採用していることが確認されており、特にGoogle Discoverやトップニュースカルーセルでのクリック率向上効果が報告されています。ただし、2023年以降Googleは「AMPであることをランキング要因にしない」と明言しており、AMP導入の最大メリットは”AMPキャッシュによる体感速度短縮”と”ニュース枠の専用バッジ表示”に限定されつつあります。

導入時のメリット・デメリット メリット:

  • 初期表示速度の大幅改善
  • Google Discover流入率向上
  • ニュース検索での優遇表示

 

デメリット:

  • 実装・保守コストの増加
  • 機能制限による表現力低下
  • 分析・測定の複雑化

 

判断フロー:

  1. Google Discover流入比率が20%以上
  2. 記事コンテンツが主体で動的機能が少ない
  3. 開発リソースが限られ即時速度改善が必要 すべて満たす場合のみAMP検討、それ以外はPWA+CWV改善で十分です。

 

Core Web Vitalsを軸にしたUX最適化

CWVとは何か

Core Web Vitals(CWV)は、ユーザー体験を数値化し検索ランキングに活用するための3指標です。

2024年3月のアップデートでFIDがINPに置き換えられ、”待ち時間”より”対話の滑らかさ”が重視されるようになりました。各指標の詳細と合格ラインは以下の通りです。

  1. LCP(Largest Contentful Paint) 定義: ページ内で一番大きなメインコンテンツがユーザーの画面に完全に描画されるまでの時間。 推奨値(モバイル): 2.5秒以内。 ユーザー影響: この時間が長いと、利用者は「ページが壊れている」「読み込みに失敗した」と感じてすぐ離脱しやすくなります。

  2. INP(Interaction to Next Paint) 定義: ユーザーがタップ・スクロール・入力などの操作をしてから、画面が視覚的に更新されるまでの遅延時間。 推奨値(モバイル): 200ミリ秒以内。 ユーザー影響: 反応が鈍いと「もたつき」が強く感じられ、直帰率やコンバージョン低下に直結します。

  3. CLS(Cumulative Layout Shift) 定義: ページ表示中に要素が予期せず動く度合い(視覚的な安定性)を示す指標。 推奨値(モバイル): 0.1未満。 ユーザー影響: レイアウトがずれると誤タップや読みにくさを招き、ブランドへの信頼を失わせる恐れがあります。

Google Search Consoleの「ページエクスペリエンス」レポートでは、URL単位で合否が判定され、合格比率が90%を切ると手動での改善通知が送られます。韓国ユーザーは高速ネットワークに慣れているため、特にINP感度が高いことが確認されており、表示速度改善による直帰率改善やコンバージョン率向上の事例が多数報告されています。

改善フレームワーク

  1. 計測 – PageSpeed InsightsとCrUXで現状把握
  2. ボトルネック特定 – WebPageTestでリソース遅延を可視化
  3. 優先順位付け – 影響度×工数でロードマップ化
  4. 実装 – 画像遅延読込、preconnect、コード分割
  5. 継続改善 – CIパイプラインにLighthouse CIを組み込む

 

NAVER向けモバイルSEO戦略

NAVER SERPを理解する NAVERの統合検索は「ブログ」「カフェ」「知識iN」「ショッピング」「動画」「ウェブサイト」の6セクションから成り、ユーザーは上段カルーセルをタップしながら情報を横断します。このため、公式サイトが下段に表示されてもクリックが発生しないケースが多く、NAVER内サービスで一次情報を発信することが欠かせません。

有効施策

  • NAVERブログ:週1本以上の長文How-to記事で上段カルーセルを狙う
  • カフェ(コミュニティ):Q&A形式で”悩みキーワード”を拾う
  • 知識iN:自社監修回答でブランド名と専門性を訴求
  • ショッピングライブ:リアルタイム配信で商品認知向上を図る

 

NAVER Search Advisor活用法 Search Advisorの「サイト検証」メニューでモバイルクロールエラーやAMP統合可否を確認し、구조화된 데이터(構造化データ)を設定することでリッチリザルト表示率を高めます。特にFAQ構造化データは韓国語+日本語併記が推奨され、二言語のロングテール流入を獲得できます。

日本企業の成功・失敗事例

成功事例:化粧品D2CブランドA社

  • NAVERブログ×Instagram連動により、「블랙헤드 케어(ブラックヘッドケア)」でNAVER上位3位を獲得。
  • Core Web Vitals最適化でモバイル直帰率25%→16%に改善。
  • 総合的なモバイル最適化により韓国売上が半年で18%増加。

 

失敗事例:アパレルEC B社

  • Google対策のみに注力し、NAVER SERP上位が競合レビュー記事に占拠。
  • AMP導入で広告タグが動作せず計測不能期間が発生し、CPAが悪化。

 

実践チェックリスト(詳細版)

技術面チェック項目:

  1. LCP 2.5秒以内達成
  2. INP 200ミリ秒以内達成
  3. CLS 0.1未満達成
  4. モバイルフレンドリーテスト合格
  5. 構造化データ実装(FAQ・商品・記事)

 

NAVER対策チェック項目:

6. NAVERブログアカウント開設・定期更新

7. 知識iN参加・専門回答投稿

8. カフェコミュニティ参加・価値提供

9. Search Advisor連携・エラー監視

10. 週次パフォーマンスレビュー実施

ポイント解説:

  • 項目1・3はPageSpeed Insights APIとDatadog Syntheticsを連携し自動モニタリングすると効率的です。
  • 項目5はFAQ構造化データを二言語で登録することで、韓国語検索と日本語検索の双方でリッチリザルトが獲得できます。
  • 項目7は社内CSチームと連携し、実際の顧客質問をもとに回答を作成すると自然なキーワードが含まれやすいです。
  • 項目10の週次レビューは、指標悪化時に責任者・原因・対策までセットで記録し、施策管理表を更新します。

 

まとめ:韓国モバイルSEOを制する三大原則

  1. 「二刀流」戦略で露出機会を最大化

    • GoogleではCWV合格と構造化データで技術面を盤石に。
    • NAVERではプラットフォーム内資産を増やし、”検索面×コミュニティ面”でブランド想起を高める。
  2. 速度は正義、しかし速度だけでは勝てない

    • 5G環境でもINPが遅いとユーザーは離脱する。
    • 速度+安定+対話性という総合UX最適化が必要。
  3. 継続モニタリングとローカルインサイトの反映

    • 検索アルゴリズムもユーザーニーズも変化が速い。
    • Search Console と Search Advisor の週次レビューをルーチン化し、数字で課題を可視化。

 

韓国市場は「モバイル高速」「レビュー重視」「プラットフォーム複合」という独自文化を持ちますが、基本となるユーザー体験の質は世界共通です。本記事のチェックリストを用い、まずはCWVとNAVER内資産の両方を”緑色(合格)”に変えることから始めてください。

改善サイクルを継続すれば、GoogleとNAVERの双方でオーガニック流入が増加し、広告依存度を下げながら売上を拡大できます。今日から施策を実行し、半年後には韓国ユーザーに愛されるモバイル体験を提供しましょう。


参照ソース

  1. South Korea smartphone penetration (share of population) – Statista https://www.statista.com/statistics/321408/smartphone-user-penetration-in-south-korea/
  2. 韓国5G速度、日本の2倍超 – 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO73724140Y3A810C2TEZ000/
  3. 韓国のモバイル通信速度は世界1位 5Gが後押し=日本58位 – 聯合ニュース https://www.yna.co.kr/amp/view/AJP20201028000300882
  4. 検索エンジンシェア率のランキングと推移(日本・米国・韓国・中国) https://ohdo.at21.jp/web/search-engine-share/
  5. Search Engine Market Share Republic Of Korea | Statcounter Global Stats https://gs.statcounter.com/search-engine-market-share/all/south-korea
  6. 子どもの「ネット依存」 対策の先進国「韓国」に学ぶ – 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/nstyle-article/DGXNASFK0100W_R00C13A8000000/
  7. Understanding Core Web Vitals – Google Developers https://developers.google.com/search/docs/appearance/core-web-vitals
  8. ページエクスペリエンスとGoogle検索結果 – Google Developers https://developers.google.com/search/docs/appearance/page-experience?hl=ja
  9. Google検索におけるAMPの仕組み – Google Developers https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/amp/about-amp?hl=ja
  10. SEO 기본 가이드 – NAVER Search Advisor https://searchadvisor.naver.com/guide/seo-help