韓国NAVERスマートブロック攻略|韓国語SERP上位に効く構造化データと内部リンク設計

はじめに

韓国市場への進出を目指す日本企業にとって、NAVERの検索エンジン対策は避けて通れない課題です。

韓国国内の検索シェア62.61%を占めるNAVERは、Googleとは異なる独自のアルゴリズムとランキングシステムを持っています。特に2024年2月から本格導入された「スマートブロック」機能は、韓国SEOにおける重要な転換点となりました。

本記事では、NAVERスマートブロックの仕組みを解説し、検索上位表示を実現するための構造化データと内部リンク設計の実践方法をご紹介します。

 

NAVERスマートブロックとは何か

スマートブロックの基本概念

NAVERスマートブロックは、同社のAI検索技術「AiRSearch」を基盤とした、ユーザーの検索意図に応じてコンテンツを主題別に分類して表示する新しい検索結果表示方式です。従来のVIEW領域がコンテンツを単純に羅列していたのに対し、スマートブロックはユーザーが求める情報を瞬時に把握できるよう、検索意図に合わせて最適化されたコンテンツを提示します。

 

2024年2月の大型アップデート

2024年2月1日、NAVERはスマートブロック方式を本格導入し、従来のVIEW領域を廃止しました。これにより、ブログとカフェのコンテンツは別々のタブに分離され、検索結果はスマートブロックを基盤とした主題単位での表示に統合されました。

この変更は、韓国SEO戦略において従来のキーワード単体よりも「文脈」が重要な要素となったことを意味します。

 

スマートブロックの仕組みとランキング要因

AIによる検索意図の分析

スマートブロックは、ユーザーの活動履歴、関心事、嗜好を分析し、個々人に最適化されたコンテンツを提示します。

例えば「カップル旅行」と検索すると、「カップル済州島旅行」「カップル江原道旅行」など、より具体的な主題別のスマートブロックが自動生成されます。

 

分類可能な大主題がある場合、スマートブロック名称の前に主題名が表示されます。「骨盤ウォーク」を検索した際に「反芻動物人気記事」という主題名と共にスマートブロックが表示されるのがその例です。

 

コンテンツ性格に応じた最適化テンプレート

NAVERは現在、コンテンツの性格に応じて最適化されたテンプレート改善を進めています。

  • 情報総まとめ型:複数の目次を含む情報性コンテンツには、プレビュースニペットを適用し、クリック前に核心内容を把握可能
  • ギャラリー型:「済州島宿泊施設」のようにイメージが重要なコンテンツは、大きなイメージを強調しページネーションを追加
  • 場所要約型:「日本旅行」のような場所情報が重要な主題は、コンテンツ内の場所情報を要約して表示

 

NAVER構造化データの実装方法

NAVERが推奨する構造化データ形式

NAVERは検索エンジンがコンテンツの特性に合わせて情報を構成し検索反映に活用するため、構造化データの実装を推奨しています。NAVERはschema.orgで定義される構造化データを基盤としており、特にMicrodataまたはJSON-LD形式の使用を推奨しています。

 

構造化データは特定コンテンツの情報を、そのコンテンツタイプに合った詳細属性で構造化してウェブページに追加するデータです。NAVER検索ロボットはこの情報を自動収集し、コンテンツ特性に合わせて情報を構成します。

 

JSON-LD形式での実装例

以下は、オーディオコンテンツに対するJSON-LD形式の構造化データ実装例です。

<script type="application/ld+json">
{ 
  "@context": "http://schema.org",
  "@type": "AudioObject",
  "contentUrl": "http://media.freesound.org/data/0/previews/719__elmomo__12oclock_girona_preview.mp3",
  "description": "Recorded on a terrace of Girona a sunday morning",
  "duration": "T0M15S",
  "encodingFormat": "mp3",
  "name": "12oclock_girona.mp3"
}
</script>

 

構造化データ検証ツールの活用

構造化データが正しく適用されているかを確認するため、schema.orgが提供する構造化データテストツールを活用することが重要です。ただし、構造化データを正常にマークアップしても、検索結果への反映を保証するものではありません。ページ内のコンテンツに応じて最も適切と判断される情報が表示される点に留意が必要です。

 

内部リンク設計とサブリンク最適化

サブリンクの重要性

NAVERのサブリンクは、ウェブサイトの構造を自動分析し、ユーザーが求める情報を簡単に探索できるよう、検索結果の一部説明文の上にリンクとして表示される部分を指します。サブリンクは検索エンジンによって、検索で判断する有用なウェブ文書を対象に、ユーザーの選好および構造的に重要と判断されるリンクを自動的に分析して表示されます。

したがって、別途の要請によって追加されることはなく、リンク内容は常に変化する可能性があります。

 

サブリンク表示を促進する内部リンク設計

NAVERが良質なサブリンクを抽出できるよう、ウェブサイト構造を分析しやすい基盤を作る必要があります。

 

1. ウェブ標準の遵守

  • JavaScriptによるリンク使用を避ける(fragment (#) URLは使用しない)
  • HTMLリンクのアンカーテキストを必ず含める。良質なアンカーテキストは検索エンジンにリンクの文脈を伝える
  <a href="http://www.example.com">アンカーテキスト</a>
  • HTMLイメージ使用時も代替テキスト(alt)を必ず含める
  <img src="example.gif" alt="イメージに関する説明">

 

2. 構造化されたナビゲーション構成とサイトマップの提供

GNB(Global Navigation Bar)は、ウェブサイトの顔とも言えます。GNBを通じて、自社ウェブサイトがどのようなページや機能を提供するのかをユーザーが簡単に理解できるようにすることが重要です。

サブリンク除外の設定方法

特定のリンクをサブリンク表示から除外したい場合は、<a>タグにrel="nosublink"属性値を追加します。

<a href="https://www.mysite.com/attend" rel="nosublink">出席チェック</a>

サイト全体のサブリンクを表示から除外したい場合は、HTMLのhead領域に以下のmetaタグを追加します。

<head>
<meta name="naver" content="nosublinks">
</head>

 

スマートブロック上位表示のための実践戦略

戦略1:スマートブロック人気主題のキーワードリサーチ

NAVERで特定のキーワードを検索した際、下部に表示される「인기주제(人気主題)」を分析します。これらの主題はユーザーが関心を持っている領域であるため、読者層を明確にターゲティングし、彼らが見たいと思う素材と形式でコンテンツを作成することが重要です。

韓国のデジタルマーケティング企業「어센트코리아(Ascent Korea)」は、「大型マート休業日廃止」というキーワードで月間4,000〜5,000件の検索ボリュームを記録していた際、このキーワードのスマートブロックに表示される人気主題を分析し、それに基づいたコンテンツ戦略を立てて成功した実例があります。

 

戦略2:具体的なコンテンツタイトルの作成

スマートブロックに上位表示されるためには、メインキーワードとサブキーワードを組み合わせた具体的なタイトル構成が効果的です。単に「旅行」ではなく、「旅行 済州島」「旅行 カップル」のように、より具体的なキーワードの組み合わせでタイトルを作成することで、スマートブロック上位表示の可能性が高まります。

 

戦略3:コンテンツ主題に適した形式での作成

自身が作成するコンテンツの性格に合わせて、テキストや写真の量、場所タグの有無など、主題に合ったコンテンツフォーマットを考慮して作成する必要があります。NAVERは現在、コンテンツの性格に応じて最適化されたテンプレート改善を進めており、核心要約型、ギャラリー型、場所要約型などの形式に対応しています。

 

戦略4:差別化されたコンテンツ価値の提供

すでに上位表示されているコンテンツを分析し、それらと比較して独自の価値を提供できる要素を追加することが重要です。Ascent Koreaの事例では、単なる情報の羅列ではなく、個人的な意見や分析を加えることで差別化を図り、ブログ開設後1ヶ月未満で約9,000のトラフィックを獲得することに成功しました。

 

NAVERとGoogleの違いから見る韓国SEO戦略

NAVER独自のエコシステム

NAVERは純粋な検索エンジンというよりコンテンツポータルとして機能しており、NAVERブログ、NAVERカフェ、知識iN、NAVERショッピングなど、自社プラットフォームのコンテンツが優先的に表示される傾向があります。韓国でのブログプラットフォームは「NAVERブログ」がほぼ一択で、次いで「ティストーリー」が使用される程度です。

 

ブロック型検索結果の特徴

NAVERの検索結果は、カテゴリーごとにブロックとしてまとまって並ぶ「ブロック型」を採用しています。「NAVERブログ」「NAVERカフェ」「動画」「知識iN」「ショッピング」など、複数のカテゴリーが一つのSERPに表示され、探索的な検索体験を促進します。

 

鮮度重視のアルゴリズム

韓国はトレンドの移り変わりが非常に速い市場です。NAVERはこの国民性に対応しており、コンテンツの鮮度が検索上位表示に大きく影響します。投稿から数日しか経過していないにも関わらずランキング除外になることも多く、継続的な更新が重要となります。

 

GoogleとNAVERの主要な相違点8つ

  1. 被リンクはSEO評価に影響しない(リンクジュースはブログ指数に反映されない)
  2. 複数IPからのログインは露出制限がかかる可能性あり
  3. フォロー人数が増えても検索順位は上がらない
  4. 同一テーマは間隔を空けて投稿しないと検索順位が落ちる
  5. サムネイル/アイキャッチは正方形一択
  6. 画像圧縮しても表示速度に影響しない
  7. 翻訳ツールを使った機械翻訳はブログ指数が低下する
  8. ブログ記事と関連性が薄いリンクを貼付するとブログ指数が下がる

 

中小企業のための実践的アプローチ

段階的実施プロセス

中小企業がNAVER SEOを始めるための段階的なアプローチは以下の通りです。

 

ステップ1:基本設定
ウェブサイトの技術的最適化とメタデータ設定を行います。

ステップ2:NAVERブログ開設
専門分野に関する定期的なコンテンツ投稿を開始します。

ステップ3:キーワード調査
ターゲットキーワードおよびロングテールキーワードの発掘を行います。

ステップ4:NAVERエコシステム参加
知識iN、カフェなどへの積極的な参加を進めます。

ステップ5:ローカルビジネス最適化
NAVERスマートプレイス登録と最適化を実施します。

ステップ6:SNS連携
適切なSNSチャネルでブログと連携した活動を展開します。

ステップ7:データ分析と改善
成果を追跡し戦略を継続的に改善します。

 

韓国市場特有の考慮事項

韓国はインターネット普及率が世帯で99.9%、総人口に対して98%と世界最高水準です。また、キャッシュレス決済比率は99%で世界1位を誇ります。このような高度にデジタル化された市場において、NAVERは韓国国民の85.6%が利用するインフラとなっています。

 

韓国の消費者院によると、消費者が購入前にレビューを確認する割合が97.2%、レビューがないときに購入をしない割合が72.4%という統計があります。このため、NAVERプラットフォーム上でのレビュー投稿を促進する設計が、CVR向上に大きく寄与します。

 

まとめ

NAVERスマートブロックは、韓国SEOにおける新たな標準となりつつあります。従来のキーワード中心のSEO戦略から、ユーザーの検索意図と文脈を重視した戦略への転換が求められています。

構造化データの適切な実装と、ウェブ標準に準拠した内部リンク設計は、NAVERの検索アルゴリズムがコンテンツを正確に理解し、適切なスマートブロックに表示するための基盤となります。特に、schema.orgベースの構造化データ実装と、GNBを含む明確なサイト構造の構築が重要です。

 

また、スマートブロックの人気主題を分析し、具体的なキーワードを組み合わせたタイトル設計、コンテンツ性格に応じた最適なフォーマット選択、そして差別化された価値の提供により、競合との差別化を図ることが可能です。

韓国市場は、世界最高水準のデジタル化率とモバイル利用率を誇り、消費者のレビュー重視傾向が強い特徴があります。NAVERは単なる検索エンジンではなく、ブログ、カフェ、ショッピング、決済などを統合したエコシステムとして機能しており、このプラットフォーム全体を活用したマーケティング戦略が成功の鍵となります。

 

一度の施策で成功するわけではありません。コンテンツの質を高め、更新を継続し、データをもとに改善を重ねることで、韓国市場における長期的な成功を実現できます。今日から、NAVERスマートブロックを意識したコンテンツ戦略を実践し、韓国市場での存在感を高めていきましょう。


参考文献

  • NAVER公式発表(AJU News Japan)https://japan.ajunews.com/view/20240201115750979
  • NAVER Search Advisor(サブリンク表示)https://searchadvisor.naver.com/guide/faq-sublink
  • NAVER Search Advisor(構造化データ紹介)https://searchadvisor.naver.com/guide/structured-data-intro
  • TBWA Data Lab(NAVERスマートブロックとSEO対応方法)https://seo.tbwakorea.com/blog/naver-smartblock-and-seo/
  • NAVER公式パートナー解説(韓国SEOの基礎)https://fujit-freelife.com/kankoku-seo_korea-seo-naver-marketing_basic-overview
  • 中小企業のためのNAVER SEO完全ガイド https://innategrowth.net/post5/
  • Ascent Korea(スマートブロック活用事例)https://www.ascentkorea.com/how-to-naver-seo-by-using-smartblock/
  • The Egg(NAVER独自のSERP機能解説)https://www.theegg.com/seo/korea/understanding-navers-unique-serp-features/
  • Ranktracker(韓国SEO完全ガイド)https://www.ranktracker.com/ja/blog/a-complete-guide-for-doing-seo-in-south-korea/