韓国トレンド2027|『トレンドコリア2027』10大キーワードと、日本企業のマーケティングの打ち手

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はじめに|2027年の韓国のキーワードに「AI」は入りませんでした

韓国では毎年秋、翌年の消費トレンドを予測する本がベストセラーになります。

その代表が、ソウル大学消費トレンド分析センターが2008年の『トレンドコリア2009』から毎年出している『트렌드 코리아(トレンドコリア)』シリーズです。19冊目となる『트렌드 코리아 2027』は2026年9月30日に刊行されました。

 

今回のスローガンは「ALPHA SHEEP(알파쉽)」です。

2027年は未年で、群れについていく羊ではなく、群れを率いて先に飛び出す一匹の羊になろう、という意味が込められています。

 

そして注目されたのが、10大キーワードに「AI」という言葉が一つも入らなかったことです。

共著者代表の김난도(キム・ナンド)ソウル大学名誉教授は刊行記念の記者懇談会で、その理由を「AIが重要でないからではなく、あまりにも当たり前になったから」と説明し、AIはスマートフォンのように生活と仕事の汎用品になったと語っています。2026年版がAIの登場とそれへの反応を描いたのに対し、2027年版はAIが前提になった後の人と組織と消費を描いた一冊です。

 

InFluKが確認した範囲では、2026年10月時点で『트렌드 코리아 2027』を日本企業向けに解説した日本語の記事はまだ多くありません。本記事では、10大キーワードを原語と日本語の要旨で整理したうえで、2026年に韓国で実際に起きた消費の変化をデータで確認し、日本企業が2027年に打つべきマーケティング施策に落とし込みます。

 

韓国で「日本」が売れる構造はなぜ今、韓国で「日本」が売れるのかもあわせてご覧ください。

 

『トレンドコリア2027』10大キーワード一覧

まず全体像です。日本語の訳と要旨は、韓国の報道で紹介された著者の説明をもとにInFluKがまとめたものです。

 

以下、日本企業のマーケティングに関わりの深い順に、もう少し詳しく見ていきます。

 

消費者の心理を表す2つ|倦怠社会とライフROI

권태사회(倦怠社会)は、2027年の消費者の基調を表すキーワードです。ショート動画やSNSなど刺激的なコンテンツがあふれているのに、何にも夢中になれない。著者はこれを、何もなくて退屈する「欠乏型」ではなく、ありすぎて退屈する「過剰型の倦怠」と呼び、「Netflixを見ながら、もっと面白いものはないかと考える」状態だと説明しています。

 

라이프 ROI(ライフROI)は、その倦怠の裏返しです。自分がかけた時間と費用に見合うものが得られるかを人生のあらゆる場面で測り、見合わなければすぐに「損切り」する態度が日常になった、と韓国の報道は整理しています。

 

この2つを合わせると、2027年の韓国の消費者像が見えてきます。目の前に選択肢と情報はいくらでもあるが、心を動かすものは少なく、試して合わなければすぐに離れる。マーケティングにとっては、「一度買ってもらう」ことと「使い続けてもらう」ことの距離が広がる市場だといえます。

 

企業戦略に直結する2つ|リ:テンション戦略とフォームファクター・シフト

리:텐션 전략(リ:テンション戦略)は、10大キーワードの中で企業に最も直接的な問いを投げかけています。人口減少と成長の鈍化が続く中で、顧客が留まり、また戻ってくる経験をつくれるかどうかが企業の持続的な成長を左右する、という分析です。

背景には2026年版のキーワード「프라이스 디코딩(プライス・デコーディング)」があります。価格と特典を細かく比べて妥当性を見極める消費者が増えたことで、新規顧客を連れてくるコストが上がり、特典だけ受け取って去る顧客も増えた。

だから次は「つなぎとめる」が戦略の中心になる、という流れです。

폼팩터 시프트(フォームファクター・シフト)は、製品の中身ではなく形が変わる流れです。韓国の報道では、貼るタイプのビタミンや錠剤型のだしが例として挙げられています。消費者の手間や使う場面に合わせて、見慣れた製品の形が変わっていくというものです。

AIが前提になった世界の5つ|やってみる経済から目利き資本まで

残る5つのうち4つは、AIが当たり前になった後の人と仕事の変化を描いています。

 

해봄경제(「やってみる」経済):

生成AIや3Dプリンターなどの道具が簡単になり、個人がかつて専門家や組織の仕事だったことを直接試せるようになった。著者は「まずやってみて、実行から学び、結果を直しながら新しい価値と機会をつくる時代が開かれた」と述べています

 

저장인류(保存する人類):

役に立つ動画、写真、会話、レシートまで、何でもまず保存する人が増えた。ただし保存した情報が何だったかを忘れる逆説もある。

 

바이브 워킹(バイブ・ワーキング):

AIと人が業務の流れと文脈を共有して自然に協業する働き方。著者は「どんな良いAIを使うかより、生産性が上がるよう組織構造をどう変えるかが重要」と強調しています

 

휴먼엣지(ヒューマン・エッジ):

何を選び、どう判断し、どんな経験をもとに結果に関わり責任を持ったか。それがAIの生み出した結果と人間を区別する要素になる

 

안목자본(目利き資本):

同じものを見ても別の価値を見いだす発掘眼・審美眼・鑑識眼が競争力になる。著者は「AI時代の本当の勝者は、AIをうまく使う人ではなく、目利きを備えた人だ」と語り、AIの活用についても「AIははしごではなく拡声器だ」と表現しています

 

10個目の하프시그널(ハーフシグナル)は世代の変化です。

更年期を人生の終わりではなく折り返し点と捉え、体と感情の変化を隠すのではなく積極的に調べて診断を受け、管理する世代が増えた。家族や職場も一緒に向き合うテーマになりつつある、と分析されています。

 

参考|2026年版の10大キーワードとのつながり

2027年版は、前年の『트렌드 코리아 2026』からの連続で読むと理解しやすくなります。

2026年版の10大キーワードは次のとおりでした(要旨はInFluKによる要約です)。

 

「프라이스 디코딩」と「리:텐션 전략」の関係は、書籍の解説でも明示されています。またInFluKの読みでは、2026年版の「휴먼인더루프」は2027年版の「휴먼엣지」「안목자본」に、「건강지능」は「하프시그널」に引き継がれているように見えます。「AIの登場」から「AIが前提になった後」へ、というのが2年間の流れです。

 

2025〜2026年に韓国で確認できた消費の変化|データで確認する

トレンド本の予測を実務に使うには、実際のデータと突き合わせることが欠かせません。2025〜2026年に韓国で確認できた変化を整理します。

 

数字が示しているのは、2026年版の「제로클릭(ゼロクリック)」と「프라이스 디코딩(プライス・デコーディング)」がすでに現実になっていることです。NAVERのAIショッピングエージェントの利用者の70%以上は、短いキーワードではなく、状況や条件を含む長い文章で質問しているとも報じられています。検索窓にキーワードを入れて比較する買い方から、AIに相談して推薦を受ける買い方への移行が、2026年に数字として表れました。

 

「日本」をめぐる数字

日本企業にとって見逃せないのが、日本関連の消費の数字です。

 

訪日韓国人:

2025年は945万9,600人で過去最多。2026年も1〜7月で656万9,800人と前年同期比20.3%増、8月は単月85万500人(推計値)で前年同月比28.7%増と、8月として過去最多を記録しました。

 

ユニクロ:

韓国法人の2025会計年度(2025年8月期)の売上は1兆3,524億ウォン、営業利益は2,704億ウォン。2026年5月の月間決済推定額は3,235億ウォンで前年同月比93%増と報じられています。

日本のビール:

食品医薬品安全処の検査年報によると、2025年の日本産ビールの輸入量は10万322トンで前年比22%増。輸入ビール全体の41.7%を占め、首位になりました。

 

ZOZOTOWN:

2026年10月、ソウル聖水のムシンサストアで韓国初のポップアップを開き、日本の15ブランドが参加しました。ただしZOZO側は、ムシンサへの出店やオフラインの拡大は「まだ決まっていない」としています。

 

韓国国家データ処によると、韓国の越境ECでの購買額(全世界からの輸入)は2023年の6兆8,000億ウォンから2025年の8兆5,000億ウォンへ毎年伸びていると、ジェトロは2026年2月のレポートで紹介しています。ジェトロは別のレポートで、日韓の貿易・投資の関係が「一方通行」から「双方向」に変わったとも分析しています。訪日旅行、日本のビール、ユニクロ、日本ブランドのポップアップと、韓国での「日本」関連の消費は、2025〜2026年の統計と現場の両方で伸びが確認できます。

 

日本企業が2027年に打つべき6つの施策

ここからは、10大キーワードと2026年のデータを日本企業のマーケティングに落とし込みます。以下はInFluKの見立てです。

 

1. 新規獲得から「再購入の導線」へ予算を寄せる(リ:テンション戦略)

韓国で新規顧客を獲得するコストは上がり続けています。訪日旅行やポップアップで日本ブランドに出会った韓国の消費者が、帰国後もNAVERスマートストアやカカオトークのチャネルで買い続けられる導線を持っているかどうかが、2027年の差になります。「日本だから」で一度は買ってもらえても、ライフROIに合わなければすぐに離れていく市場です。初回購入の次の一手、つまりカカオの友だち登録、再購入クーポン、会員特典の設計に予算を振り向けることをおすすめします。

カカオトークの企業活用はカカオトークを企業が使うには?で解説しています。

 

2. 日本の「形の工夫」を武器にする(フォームファクター・シフト)

個包装、スティック、シート、固形、詰め替えなど、使う場面に合わせて形を変える工夫は、日本の消費財が得意としてきた領域です。韓国の消費者が「形」に価値を見いだし始めたのであれば、中身の品質だけでなく、形の工夫そのものを訴求の中心に据える余地があります。ダイソーやオリーブヤングのように、新しい形の小容量商品を試しやすい売り場があることも追い風です。

オリーブヤングでの展開はオリーブヤング入店後の売り方完全ガイドをご覧ください。

 

3. 「AIが読める」商品情報を整える(ゼロクリックの継続と保存する人類)

NAVERのショッピングアプリで取引額の半分以上がAI推薦を経由するようになった以上、商品ページはAIに読まれることを前提に作る必要があります。商品の属性、利用シーン、レビューの量と中身が、AIが推薦する際の材料になります。「保存する人類」のキーワードが示すように、ウィッシュリストや保存も推薦の素材になります。

 

AI検索への対応は韓国のAI検索対策完全ガイドで詳しく扱っています。

4. 作り手の「人の痕跡」を見せる(ヒューマン・エッジ)

AIで誰でもそれらしいコンテンツを作れる時代に、差別化になるのは人間の判断と経験の痕跡だ、というのがヒューマン・エッジの指摘です。工程、素材の選び方、作り手の判断といった「なぜこの形になったのか」の物語は、日本のものづくりが持つ資産と重なります。広告のコピーよりも、作り手の顔と判断が見えるコンテンツに投資する価値があります。

 

5. 「目利き」を起用する(目利き資本)

目利きが資本になる時代には、ブランド自身が語るより、信頼される目利きに選ばれることの価値が上がります。韓国では、インフルエンサーやキュレーターがその役割を担います。ただし、フォロワー数より「この人が選ぶなら」という信頼で起用先を選ぶことが前提です。

表示ルールは韓国のステマ規制完全ガイドを確認してください。

 

6. 40〜50代の変化を見逃さない(ハーフシグナル)

更年期を積極的に調べて管理する世代が増えるという指摘は、日本のフェムケアやエイジングケア、健康関連商品にとって追い風になり得ます。韓国のオープンサーベイは2025年12月のトレンド展望で、50代の81.0%がオンラインショッピングで自ら購買を決めていると報告しています。若年層だけを韓国の消費者と考えず、40〜50代をデジタルで直接狙う設計が有効です。

 

そして全体を通したメッセージが、スローガンの「ALPHA SHEEP」です。群れや空気を待たず、先に小さく試して学ぶ。「やってみる」経済の時代には、完璧な準備より小さな市場テストのほうが情報を多く持ち帰れます。

 

今後発表される主要なトレンド予測|例年の時期

2026年10月20日時点で、『트렌드 코리아 2027』のほか、엠브레인の『2027 트렌드모니터』、『머니 트렌드 2027』などの書籍や、Skyscannerの旅行トレンド予測が出ています。一方、企業・研究機関による予測の多くは年末にかけて出そろいます。以下は前年の発表時期をもとにした目安で、2027年版の日程が公表されたものではありません。

InFluKでは、これらの発表を受けて日本企業向けの解説を順次お届けする予定です。

よくある質問(FAQ)

『トレンドコリア2027』の10大キーワードは何ですか?

권태사회(倦怠社会)、라이프 ROI(ライフROI)、폼팩터 시프트(フォームファクター・シフト)、해봄경제(「やってみる」経済)、저장인류(保存する人類)、바이브 워킹(バイブ・ワーキング)、리:텐션 전략(リ:テンション戦略)、휴먼엣지(ヒューマン・エッジ)、하프시그널(ハーフシグナル)、안목자본(目利き資本)の10個です。2026年9月30日に刊行され、スローガンは「ALPHA SHEEP」です。

 

なぜ2027年のキーワードに「AI」が入っていないのですか?

共著者代表の김난도ソウル大学名誉教授は、「AIが重要でないからではなく、あまりにも当たり前になったから」と説明しています。AIはスマートフォンのように生活と仕事の汎用品になったため、2027年版はAIそのものではなく、AIによって社会や組織や個人がどう変わるかに焦点を当てています。

 

日本企業にとって最も重要なキーワードはどれですか?

マーケティングに直結するのは「リ:テンション戦略」です。新規顧客の獲得コストが上がる中で、既存顧客をつなぎとめる経験をつくれるかが成長を左右するという指摘で、訪日旅行などで日本ブランドを知った韓国の消費者を、帰国後の再購入につなげる導線づくりに直結します。

 

2026年の韓国で、日本関連の消費は伸びていますか?

伸びています。訪日韓国人は2025年に945万9,600人で過去最多となり、2026年も1〜7月で前年同期比20.3%増、8月は前年同月比28.7%増でした。2025年の日本産ビールの輸入量は10万322トンで輸入ビール全体の41.7%を占め、首位になっています。

 

2027年のトレンド予測は、ほかにいつ発表されますか?

例年の時期では、대학내일20대연구소の『Z세대 트렌드』が10月下旬、オープンサーベイと삼성패션연구소が12月下旬、CJ올리브영のトレンドキーワードが12月中旬に発表されています。2027年版の日程は各社から公表されていないため、目安として捉えてください。

 

まとめ|2027年は「AIの次」を読む年です

本記事の要点です。

 

  • 『트렌드 코리아 2027』は2026年9月30日に刊行され、スローガンは「ALPHA SHEEP」。10大キーワードに「AI」は入らず、AIが前提になった後の人と組織と消費が描かれています
  • 消費者の心理を表すのは「倦怠社会」と「ライフROI」。選択肢はあふれているが心は動きにくく、合わなければすぐに離れる市場です
  • 企業戦略に直結するのは「リ:テンション戦略」と「フォームファクター・シフト」です
  • 2025〜2026年のデータでは、物価高、ダイソーと中国系ECの拡大、NAVERでAI推薦経由の取引額が5割超、ショート動画経由の購買拡大が確認できます
  • 訪日韓国人は過去最多ペース、ユニクロや日本のビールも好調で、韓国での日本関連の消費は2025〜2026年の統計と現場の両方で伸びています
  • 日本企業の打ち手は、再購入の導線、形の工夫、AIが読める商品情報、作り手の痕跡、目利きの起用、40〜50代へのデジタル直接訴求の6つです

 

InFluKは、ソウル・釜山の現地法人として、韓国の最新トレンドを踏まえた商品の打ち出し方の設計から、NAVER・カカオでの再購入導線づくり、インフルエンサーの選定、韓国でのテスト販売までを支援しています。「自社の商品は2027年の韓国でどう打ち出すべきか」という整理の段階からご相談いただけます。お気軽にお問い合わせください。

 

韓国マーケティング InFluKのサービスページはこちら:https://influk.bwell.jp/


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