【2026年版】オリーブヤングに商品を置くには?|日本ブランドの取扱開始(入店)手順と売るための完全戦略

はじめに|韓国のビューティー市場は「オリーブヤングを制する者が制す」

韓国でコスメ・ヘルスケア商品を売りたいなら、避けて通れない販路があります。CJグループが運営する韓国最大のH&B(ヘルス&ビューティー)ストア、オリーブヤング(올리브영/OLIVE YOUNG)です。

競合H&Bチェーンが相次いで撤退した結果、韓国のH&Bオフライン市場はオリーブヤングの事実上の一強となりました。日本で言えば、マツキヨ・ココカラ・ロフト・PLAZAのビューティー機能を1社に集約したような存在で、日本の旅行者から「韓国のマツキヨ」と呼ばれることもあります。

そして2025年以降、日本ブランドにとって見逃せない変化が起きています。ノージャパン以降姿を消していた日本コスメがオリーブヤングに戻り始めたのです。本記事は、ソウル・釜山に現地法人を構える韓国特化マーケティングチーム「InFluK(インフラック)」が、オリーブヤングの最新データ、商品を取り扱ってもらうためのルートと審査プロセス、取引条件の実務、取扱開始後の売り方までを、現地の一次情報をもとに解説するものです。

なお、韓国では小売チェーンに商品を卸して棚に置いてもらうことを「入店(입점/イプチョム)」と呼びます。日本語の「店に入る」とは意味が異なる業界用語ですが、現地の情報収集で必ず目にする言葉のため、本記事では「取扱開始」の意味で「入店」という表記も併用します。

韓国市場攻略の全体像(NAVER・Kakao・広告・インフルエンサーの使い分け)は

【2026年版】韓国マーケティング完全ガイド」で解説しています。

 

データで見るオリーブヤング|売上5.8兆ウォン、外国人売上だけで1兆ウォン

まず、このチャネルの規模を最新の公式データで確認します。

 

成長ドライバーは2つです。ひとつはK-ビューティーブームによる訪韓外国人の爆買いで、ソウル明洞や聖水のオリーブヤングは外国人観光客の「必須コース」になっています。もうひとつはオンラインとの融合(オムニチャネル)で、店舗受け取りや即日配送「オヌルドリーム」を武器にオンライン比重を3割超まで高めました。

ブランド側から見た重要データもあります。オリーブヤングに入店するブランドのうち年商100億ウォン以上を達成したブランドは、2013年のわずか2社から2024年には100社に増えました。オリーブヤングは単なる売場ではなく、新興ブランドを育てる「成長プラットフォーム」として機能しているということです。この構造は、韓国での知名度がゼロに近い日本ブランドにとっても意味を持ちます。

 

なぜ今、日本ブランドにチャンスなのか|3つの追い風

「外資が入るのは難しいのでは」と思われがちですが、2026年の環境は日本ブランドに追い風です。

 

追い風1:日本コスメの「復帰」が始まった

象徴的な事例が、日本のプチプラコスメを代表するキャンメイク(CANMAKE)です。ノージャパン以降韓国市場から姿を消していた同ブランドは、2025年8月にオリーブヤング単独ローンチという形で韓国再進出を果たしました。かつてオリーブヤングアワードに名を連ねた実績を持つブランドの復帰は、現地でも「日本ビューティーブランドが戻ってきた」と話題になっています。コンビニGS25が実施した日本のドン・キホーテのポップアップにオープン前から行列ができるなど、日本商品への需要回復は流通の現場レベルで確認されています。

 

追い風2:オリーブヤング自身が「日本」を戦略市場にした

オリーブヤングは米国・日本を戦略国家と位置づけ、米国では2026年にカリフォルニア1号店を含む出店を進め、日本でも東京への出店を検討していると報じられています。日本市場への関心が高まるほど、日本ブランド・日本企業との接点や協業の文脈は増えていきます。

 

追い風3:MD戦略が「発掘型」である

オリーブヤングの強みは、大手ブランドを並べることではなく、有望な新興ブランドを発掘・育成して独自の売場を作るMD(マーチャンダイジング)力にあります。話題性・差別化・SNSでの支持があれば、企業規模や国籍よりも「売れる根拠」で評価される余地がある——これは実績データの少ない海外ブランドにも門戸がある構造だと言えます。

 

オリーブヤングに商品を置く3つのルート

現地の業界情報を整理すると、入店経路は大きく3つです。

 

ルート1:公式ルート(事業提携提案ページからの直接提案)

オリーブヤングの公式サイトにある事業提携・入店提案ページから商品を提案する方法です。

標準的なプロセスは次のように紹介されています。

  1. 入店提案・MD相談:カテゴリ別のMD担当者に商品情報・ブランド資料を提出
  2. 品評会(품평회):一定要件を満たした商品について、実物評価で商品力を審査
  3. 信用評価:取引先としての信用調査
  4. 入店契約:条件合意のうえ契約、発注開始

注意すべきは、MDがカテゴリごとに細分化されている点です。基礎化粧品だけでもダーマ・スキンケア・クレンジング・サンケアで担当が分かれ、メイクアップはさらに細かいとされています。自社商品がどのカテゴリ・どの棚(POG:棚割り)で戦うのかを特定し、その棚の競合構成を分析したうえで提案することが、返信率を左右します。

 

ルート2:ベンダー(卸・流通代行会社)経由

オリーブヤングなどの流通チャネルを専門とするベンダー企業に、入店提案から運営までを委託する方法です。

ベンダーはMDとのネットワークを持ち、提案書の作成、物流・在庫管理、行事(販促イベント)運営まで代行します。中間マージンが発生する一方、入店ノウハウのない新規ブランドがまずベンダー経由で実績を作り、軌道に乗った段階で直接取引へ切り替える戦略は、現地でも定石として語られています。海外ブランドにとっては、韓国側の輸入・薬事・物流機能を持つパートナーを兼ねられる点でも現実的な選択肢です。

 

ルート3:スカウト(オリーブヤング側からの発掘)

市場で話題になっている商品を、オリーブヤングのMDが随時発掘して入店させるルートです。

狙って作れるものではありませんが、後述するSNS・レビューでの「韓国国内での話題化」が、結果的にこのルートの確率を高めます。

 

MDに選ばれるために準備すべきもの

現地でMD提案の実務に携わる専門家たちが共通して挙げる準備物は、次の3点セットです。

 

①主力商品の明確化:全ラインナップではなく、その棚で勝てる1〜3SKUに絞った提案が基本です。オリーブヤングの売場は徹底したデータ主義で、貢献度の低いSKUは早期に外されます。

②売上レファレンス:韓国国内での販売実績(越境EC・自社モール・他チャネル)、日本国内での実績、SNSでの反応データなど、「売れる根拠」の数字です。実績ゼロでの提案は通りにくいため、後述のとおり越境ECやSNSで先に実績を作る順序が有効です。

③マーケティング計画:入店後にブランド側がどれだけ集客・販促に投資するかはMDの重要な判断材料です。インフルエンサー起用計画、SNS運用、広告予算まで含めた計画書が求められます。

 

加えて、日本ブランド固有の準備として、韓国語のパッケージ・商品説明のローカライズ、化粧品の場合は韓国の化粧品法制に基づく輸入・販売体制(現地の責任販売事業者の確保など)が前提になります。規制要件は商品カテゴリで大きく異なるため、提案前の確認が必須です。

文化に根ざした翻訳・現地最適化の進め方は

韓国語ローカライゼーションの成功戦略」で解説しています。

 

商談前に押さえる取引条件の論点

入店の可否と同じくらい重要なのが、取引条件です。現地の業界情報から、確認すべき論点を整理します。

  • 手数料(マージン)水準:過去の業界報道では消費者価格の35〜50%程度と言われてきました。ただしこれは数年前の水準を含む情報であり、カテゴリ・取引形態・交渉で大きく変動するため、必ず商談時点の条件を個別に確認してください
  • 供給率と行事分担率:納品価格の水準に加え、「올영세일(オリョンセール)」など大型販促時の値引き原資をブランド側がどれだけ負担するかは、実質マージンを大きく左右します
  • 発注・在庫条件:初回発注量、リオーダー基準、精算サイクル、返品・廃棄の扱い
  • ベンダーの役割範囲:入店仲介のみか、MD折衝・行事運営までか、発注・物流対応まで含むか——ベンダーによって役割と手数料が大きく異なります

なお、オリーブヤングは近年、納品業者に対する優越的地位をめぐる論争が報じられたこともあり、コンプライアンス体制の強化(準法経営認証の取得など)を進めています。とはいえ交渉力の差は構造的に存在するため、条件面は現地事情に明るいパートナーとともに精査することをおすすめします。

 

入店はゴールではない|「棚に置かれてから売る」ための集客設計

オリーブヤングの売場はデータで管理されており、入店後に売れなければ棚から外れます

入店前から並行して走らせるべき集客設計が3つあります。

 

①韓国国内での「発見される状態」づくり:韓国の消費者は店頭で見た商品をその場でNAVER検索し、レビューを確認して買うかどうかを決めます。ブランド名・商品名の韓国語表記で検索したときに、レビュー記事や紹介コンテンツが出てくる状態を先に作っておくことが、店頭の転換率を支えます。

②SNS・インフルエンサーでの話題化:オリーブヤングの購買層と重なる20〜30代女性へのリーチは、Instagram・ショート動画とビューティーインフルエンサーの起用が中心になります。「オリーブヤングで買える」という購入導線の明示が、投稿の実売効果を高めます。

 

韓国向けInstagramアカウントの運用戦略は 「【2026年版】韓国Instagramマーケティング完全ガイド」で解説しています。

インフルエンサー起用コストの相場観は 「韓国インフルエンサー費用の決まり方」を参照してください。

 

③越境EC・オンラインでの実績づくり:入店前の実績づくりには、CoupangやNAVERスマートストア、オリーブヤングのオンラインモールなど、オンライン販路での先行テストが有効です。ここで作った販売データとレビューが、MD提案の「売上レファレンス」そのものになります。

韓国ECモールへの出店手順と集客設計は 「【2026年版】韓国越境EC完全ガイド」で解説しています。

 

よくある失敗パターン

失敗1:全商品カタログでの提案

棚とターゲットを特定しない「総合提案」は、カテゴリ別MDの構造と噛み合いません。

 

失敗2:実績ゼロ・計画なしの持ち込み

「日本で人気」だけでは根拠になりません。韓国国内の販売データかSNSの反応データが必要です。

 

失敗3:行事分担を織り込まない価格設計

表面のマージンだけで採算を組むと、大型セール参加のたびに赤字になります。

 

失敗4:入店後のマーケティング投資を止める

棚は成果で維持されるため、入店直後の3〜6ヶ月が最も投資を要する期間です。

 

失敗5:規制・薬事対応の後回し

化粧品・健康食品は輸入販売の法的要件があり、対応の遅れは商談自体を止めます。

食品カテゴリで韓国販路をつくる際の規制・商流の全体像は

【2026年版】韓国食品の輸入完全ガイド」で解説しています。

 

FAQ|オリーブヤングでの取り扱いに関するよくある質問

Q1. 日本法人のままでも商品を置けますか?

A. 一般に、韓国国内での輸入・流通・薬事対応を担う主体(現地法人・輸入代理店・ベンダーなど)が必要になります。日本法人単独での完結は難しいため、体制設計が最初の論点です。

 

Q2. 取扱開始までどのくらいの期間がかかりますか?

A. ケースによりますが、提案準備からMD相談・品評会・契約・初回納品まで、規制対応を含めると数ヶ月〜1年程度を見込むのが現実的です。

 

Q3. どんな日本商品が有望ですか?

A. 断定はできませんが、オリーブヤングのグローバルモールでは日本の消費者がイナービューティー・オーラルケア・ヘア/ボディケアを多く購買しているように、カテゴリごとの需要構造があります。韓国側では、日本発のメイクアップ・スキンケア・ヘルスケア雑貨など「日本らしさ」と機能性を両立した商品が復帰の先行例になっています。重要なのはカテゴリよりも、その棚の競合に対する明確な差別化です。

 

Q4. オンラインモールだけの入店も可能ですか?

A. オンライン先行での取り扱いから始まるケースもあります。オフラインの棚は競争が最も激しいため、オンラインでの実績を足がかりにする段階設計は有効な選択肢です。

 

Q5. 政治リスクは考慮すべきですか? A. 考慮すべきです。過去には日韓関係の悪化を背景に日本ブランドの取り扱いが中止された事例があります。現在は日本商品への需要が回復していますが、韓国社会との信頼構築を平時から積み重ねる姿勢がリスク耐性になります。

 

まとめ|「実績づくり→提案→入店後の集客」を一本の線で設計する

本記事のポイントを整理します。

  • オリーブヤングは売上5兆8,335億ウォン・1,371店舗・外国人売上1兆ウォンの、韓国ビューティー流通の事実上の一強です
  • キャンメイクの単独ローンチ復帰に象徴されるように、日本ブランドへの門戸は再び開きつつあります
  • 入店ルートは「公式提案」「ベンダー経由」「スカウト」の3つ。カテゴリ別MDの構造を理解した、根拠ある提案が前提です
  • 手数料・行事分担・発注条件など取引条件の精査が採算を分けます
  • そして入店はゴールではなくスタート。NAVER検索・SNS・インフルエンサー・オンライン販路での実績づくりと集客を、提案前から一本の線で設計することが成功条件です

 

オリーブヤング攻略は、規制対応・流通交渉・韓国語コンテンツ・SNSマーケティングを同時に進める総合戦です。特に「入店前の実績づくり」と「入店後の集客」は、現地の消費者理解なしには設計できません。

InFluKは、韓国ソウル・釜山に現地法人を構え、メンバーの3割が韓国人、半数が韓国語ネイティブレベルで対応できる韓国市場専門のマーケティング支援チームです。韓国進出の販路戦略設計、越境EC・SNSでの実績づくり、インフルエンサー起用、NAVER検索対策、現地パートナー連携まで、オリーブヤング攻略に必要な集客面をワンストップでご支援できます。

「オリーブヤングに入れたい商品がある」「韓国のビューティー市場に参入したい」といったご相談があれば、ぜひ一度InFluKまでお気軽にご相談ください。貴社の商材・フェーズに合わせて、最適な韓国進出戦略をご提案いたします。

韓国マーケティング InFluKのサービスページはこちら:https://influk.bwell.jp/

※本記事に掲載した数値・入店プロセス・取引条件は、各発表・報道時点の情報および業界で一般に語られる水準です。実際の条件は個別交渉・時期により異なるため、意思決定にあたっては最新の公式情報と専門家の確認をおすすめします。

 


 

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