【2026年版】韓国・秋夕(チュソク)商戦マーケティング完全ガイド|9月25日連休に向けた逆算スケジュールと贈答ルール

はじめに|韓国の「年間最大商戦」に、日本企業はまだほとんど参戦できていない

韓国のビジネスカレンダーで最大の山場は、旧正月(ソルラル)と秋夕(チュソク)の二大名節です。なかでも秋夕は、ギフトセット(선물세트)の需要が全国規模で発生し、百貨店・大型マート・コンビニ・ECのすべてが総力戦を仕掛ける年間最大級の商戦です。

ところが日本企業の多くは、この商戦の存在を知りながら、準備の締切に間に合わず毎年見送っています。韓国の流通は本番の1ヶ月以上前から予約販売(사전예약)が始まり、そこで勝負がほぼ決まるためです。逆に言えば、スケジュールさえ逆算できれば、日本の食品・コスメ・雑貨メーカーにとって非常に相性の良い商戦でもあります。

本記事は、ソウル・釜山に現地法人を構える韓国特化マーケティングチーム「InFluK(インフラック)」が、2026年秋夕の日程・法規制・市場トレンド・準備スケジュールを、韓国政府機関と現地報道の一次情報をもとに整理したものです。

韓国市場攻略の全体像(NAVER・Kakao・広告・インフルエンサーの使い分け)は

【2026年版】韓国マーケティング完全ガイド」で解説しています。

 

2026年の秋夕はいつ?|9月25日(金)、連休は4日間

まず基本情報です。

ここで重要なのは、2026年の連休が前年より大幅に短いことです。

2025年の秋夕は開天節・ハングルの日と連結し、10月3日から9日までの7連休、有給を1日取得すれば最長10日間という「黄金連休」になり、流通業界は記録的な特需を享受しました。一方2026年は4日間にとどまります。

この差は施策設計に直結します。2025年は「長期休暇で海外旅行に出るため、帰省の代わりに贈り物を送る」動きが売上を押し上げましたが、2026年は移動距離の短い過ごし方が中心になると見込まれます。日本にとっては、4連休は近距離の海外旅行に最適な長さであり、訪日需要のピークになる可能性が高い点も見逃せません。

 

データで見る秋夕商戦|「過去最高」が続くギフトセット市場

秋夕商戦の規模感を、直近の実績で確認します。

コンビニ大手のCU(シーユー)では7,500万ウォンのハイエンドウイスキーが実際に販売され、コンビニ業界史上最高額の販売事例として報じられました。

過去には制度変更が市場を動かした例もあります。2023年の秋夕では、連休の延長と後述する贈答上限の引き上げが重なり、予約販売売上がロッテ百貨店で約60%増、新世界百貨店で103.5%増、現代百貨店で56.3%増と、いずれも過去最高を記録しました。

業界では、この流れを受けて「名節=贈り物消費」という文化が一層強まるとの見方が出ています。つまり秋夕商戦は、単発のセールではなく毎年確実に発生する構造的な需要です。

 

【必読】日本企業が必ず押さえるべき贈答ルール|金品授受禁止法(キム・ヨンラン法)

秋夕商戦でB2B・法人ギフトを狙う場合、知らないと取引先に迷惑をかける法律があります。「不正請託および金品等授受の禁止に関する法律」、通称キム・ヨンラン法(청탁금지법)です。

対象は公務員だけでなく、公共機関の職員、教職員、報道機関の従事者などにも及びます。贈答の上限は次のとおりです。

区分通常時名節(秋夕・旧正月)期間
一般的な贈り物5万ウォンまで5万ウォンまで
農畜水産物・その加工品15万ウォンまで30万ウォンまで

名節期間の特例が適用されるのは、秋夕当日の24日前から5日後までの30日間(宅配等で発送する場合は発送日基準)と定められています。この規定に基づくと、2026年は9月1日(火)〜9月30日(水)が該当期間となる見込みです(2025年は秋夕10月6日に対し9月12日〜10月11日と告知されました)。実際の適用期間は国民権益委員会が毎年告知するため、施策実行前に必ず公式発表をご確認ください。

 

実務上の注意点も押さえておきます。

まず、加工品は原料の50%超が農畜水産物である製品のみが15万/30万ウォン枠の対象です。この条件を満たさない加工食品や雑貨は5万ウォン枠になります。また、商品券は「物品・役務商品券」(数量が記載されたもの、モバイル商品券・文化観覧券など)は贈答対象に含まれますが、百貨店商品券のような金額商品券は対象外です。さらに、許認可申請中の事業者と担当公務員のように直接的な利害関係がある場合は、金額の範囲内であっても一切の贈答が認められません。

日本企業にとっての示唆は明確です。B2Bギフトを企画するなら「5万ウォン以下」「15万〜30万ウォン枠に入る農畜水産加工品」という価格帯の設計思想を理解しておく必要があります。ギフト市場の価格帯が特定の水準に集中するのは、この法律が背景にあるためです。

食品カテゴリで韓国販路をつくる際の規制・商流の全体像は

【2026年版】韓国食品の輸入完全ガイド」で解説しています。

 

2026年秋夕の3大トレンド

現地の直近動向から、企画に反映すべきトレンドを3つ挙げます。

 

トレンド1:価格帯の二極化(コスパ型 vs プレミアム型)

近年の秋夕ギフトは、中間価格帯が薄くなり両極に分かれる傾向が鮮明です。現地の分析では、3万〜5万ウォン台の「実利型(가성비)」がMZ世代や少人数世帯を中心に主流を形成する一方、10万ウォン台から30万ウォン台以上の「プレミアム型」——限定版の酒類、高級コーヒー豆、健康食品など「特別な価値」を伝える商品——も伸びていると整理されています。

日本企業が参入するなら、どちらの陣地で戦うかを最初に決めることが重要です。「日本らしさ」を活かした少量高付加価値のプレミアム路線か、日常使いできる実利型か。中途半端な価格設定は最も選ばれにくいゾーンです。

 

トレンド2:モバイルギフト(선물하기)の主戦場化

カカオトークの「선물하기(贈り物する)」に代表されるモバイルギフトは、秋夕商戦の重要チャネルになっています。カカオの発表では、非対面文化の定着とともに中高年層の利用が拡大し、名節期間の購入取引額は50代・60代で最も高い成長率を記録した年もありました。近年はモバイル交換券だけでなく配送商品・プレミアム商品まで扱いが広がり、法人向けの「선물하기 for Biz」も運用されています。

注目すべき変化として、贈り物の枠を超えた「自分への贈り物(셀프선물)」需要の拡大があります。新世界百貨店の調査では消費者の77%がセルフギフトの経験があると回答し、カカオの선물하기でも自己購入の取引額が前年比40%成長したと報じられています。「贈る人」だけでなく「自分へのご褒美」の文脈も、商品訴求の切り口になります。

カカオトークを活用した販促・CRM設計は 「【2026年最新】カカオトーク活用法」で解説しています。

 

トレンド3:連休の過ごし方の変化と、訪日需要

長期連休では「帰省せず旅行に行く」「贈り物で気持ちを伝える」という行動が定着してきました。2026年は4連休と短めですが、これは日本・東南アジアなどの近距離旅行に適した長さです。訪日韓国人が年間946万人と過去最高を更新している現状を踏まえると、9月24〜27日は日本国内の観光・小売・飲食にとって重要な商機になります。

つまり2026年の秋夕は、韓国国内で「売る」戦略と、日本国内で「迎える」戦略の両面で設計する価値があります。

訪日韓国人の集客・受け入れ施策は 「訪日韓国人集客 完全ガイド」で詳しく解説しています。

 

逆算スケジュール|9月25日から逆算した準備カレンダー

秋夕商戦は「本番前に終わっている」商戦です。2026年の想定スケジュールを示します。

特に重要なのは、8月中に韓国語のクリエイティブと在庫が揃っていることです。予約販売の期間に商品ページが未完成では、商戦の最も重要な局面を丸ごと逃します。今から準備を始めれば、2026年の秋夕には十分間に合います。

 

日本企業の3つの参戦パターン

自社の体制に応じて、現実的な参戦方法は3つに分かれます。

 

パターン1:越境EC・韓国ECモールで直接売る

CoupangやNAVERスマートストアなどに出店し、秋夕ギフト向けのセット商品を販売する方法です。初期投資を抑えて参戦でき、越境ECでの日本商品需要は堅調に伸びています。ただし配送リードタイムが命綱になるため、名節前の物流繁忙期を織り込んだ設計が必須です。

出店手順とモール比較、出店後の集客設計は 「【2026年版】韓国越境EC完全ガイド」で解説しています。

 

パターン2:現地流通・法人ギフト市場を狙う

韓国の流通企業やギフト専門業者と組み、百貨店・マート・法人向けチャネルに商品を供給する方法です。ロットとリードタイムの要求は厳しくなりますが、規模は最大です。前述の贈答上限を踏まえた価格帯設計が交渉の前提になります。

 

パターン3:訪日韓国人を日本国内で迎え撃つ

9月24〜27日の連休に訪日する韓国人観光客に向けて、店頭の韓国語対応、SNSでの事前告知、免税・決済対応を整える方法です。韓国内に販路がなくても始められ、購入体験を越境ECの継続購買につなげる導線も作れます。

 

秋夕商戦でよくある失敗パターン

失敗1:準備開始が9月

予約販売が終わった後に動き出しても、その年の商戦には参加できません。逆算の起点は7〜8月です。

 

失敗2:日本のギフト常識を持ち込む

韓国の名節ギフトは「箱の格」「セット構成」「配送のスマートさ」への要求が高く、包装や表記が現地基準を満たさないと選ばれません。

 

失敗3:贈答上限を無視した価格設定

5万ウォン・15万ウォン・30万ウォンという法定ラインを跨ぐ価格は、法人需要から外れやすくなります。

 

失敗4:物流の繁忙期を軽視する

名節前は配送が集中し遅延が起きやすい時期です。「秋夕に間に合わない贈り物」はブランド毀損に直結します。

 

失敗5:単年で終わらせる

秋夕は毎年訪れ、旧正月と合わせて年2回の商戦になります。初年度のデータを翌年に引き継ぐ運用設計が投資効率を高めます。

 

FAQ|秋夕商戦のよくある質問

Q1. 2026年の秋夕はいつですか?

A. 秋夕当日は9月25日(金)、法定連休は9月24日(木)〜26日(土)で、日曜を含めると4日間の休みになります。振替休日は適用されません。

 

Q2. 今から準備して2026年の商戦に間に合いますか?

A. 間に合います。予約販売は概ね8月下旬から始まるため、7月中に商品企画と販路を固め、8月に韓国語クリエイティブと在庫を用意できれば参戦可能です。

 

Q3. 贈答上限の30万ウォンは輸入品にも適用されますか?

A. 法律の条文は農水産物・農水産加工品という品目で規定されており、原産地による区別は明示されていません。ただし個別商品の該当可否は所管省庁(農林畜産食品部・海洋水産部)への確認が必要とされているため、実務では現地パートナーや専門家を通じた確認をおすすめします。

 

Q4. どんな日本商品が秋夕ギフトに向いていますか?

A. 一般論として、日本ならではの菓子・食品、健康関連商品、コスメ、雑貨などギフト適性の高いカテゴリが候補になります。重要なのはカテゴリよりも、価格帯・パッケージ・配送品質を韓国の名節基準に合わせられるかどうかです。

 

Q5. 旧正月(ソルラル)商戦との違いは何ですか?

A. 基本構造は共通で、贈答上限の特例も同様に適用されます。時期が異なるため(2027年の旧正月は2月)、秋夕で得たデータをそのまま次の商戦に活かせるのが利点です。

 

まとめ|2026年の秋夕は「9月25日」から逆算して動く

本記事のポイントを整理します。

  • 2026年の秋夕は9月25日(金)、連休は9月24〜27日の4日間。前年の10日間から短縮されるため、施策設計の前提が変わります
  • 秋夕はギフトセット売上が過去最高水準の更新を続ける構造的な商戦で、価格帯は「実利型」と「プレミアム型」に二極化しています
  • B2Bギフトでは金品授受禁止法の上限(5万/15万/名節期間30万ウォン)の理解が必須。2026年の特例期間は9月1日〜30日と見込まれます
  • 勝負は予約販売期(8月下旬〜9月上旬)に決まるため、7〜8月の準備が成否を分けます
  • 参戦方法は「越境EC」「現地流通・法人ギフト」「訪日韓国人の受け入れ」の3パターン。自社の体制に合わせて選べます

 

秋夕商戦は、商品企画・規制対応・韓国語クリエイティブ・物流・広告を、限られた期間で同時に走らせる必要があります。現地の商習慣と法規制を踏まえた判断ができるかどうかが、成果を大きく左右します。

InFluKは、韓国ソウル・釜山に現地法人を構え、メンバーの3割が韓国人、半数が韓国語ネイティブレベルで対応できる韓国市場専門のマーケティング支援チームです。秋夕商戦に向けた商品企画のアドバイス、韓国語クリエイティブ制作、ECモール・SNSでの販促、インフルエンサー起用、訪日韓国人向けプロモーションまでワンストップでご支援できます。

「2026年の秋夕商戦に間に合わせたい」「何から着手すべきか整理したい」といったご相談は、時期的に早いほど選択肢が広がります。ぜひ一度InFluKまでお気軽にご相談ください。

韓国マーケティング InFluKのサービスページはこちら:https://influk.bwell.jp/

※本記事の日程・法令・市場データは、各発表時点の情報です。特に金品授受禁止法の名節特例期間は国民権益委員会が毎年告知するため、施策実行前に必ず公式発表をご確認ください。また、個別の法令解釈については専門家にご相談ください。

 

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