韓国インフルエンサー費用の決まり方|フォロワー規模別の見積もり設計と「単価表」の罠

韓国インフルエンサーマーケティングの「単価相場」は、実務上“価格表”のように一律ではありません。理由はシンプルで、費用はフォロワー数よりも「成果が出る設計(企画・制作・配信・権利・運用)」に強く左右されるからです。  

 

本記事では、日本企業の担当者が韓国で見積もりを取るときに迷いがちなポイントを、フォロワー規模(ナノ〜メガ)別に“費用の作り方”として整理し、見積もりの罠(権利・独占・広告表記・二次利用など)を避けるチェックリストまで落とし込みます。

 

Contents

なぜ韓国では「単価表」が当てになりにくいのか

見積もりの出発点を「フォロワー数×投稿本数」に置くと、韓国では失敗しやすくなります。

まず押さえたいのは、単価を左右する要素が“投稿行為”ではなく“制作物と運用”に分解できる点です。

 

単価は「露出」ではなく「制作物+配信条件+権利」で決まる

インフルエンサー施策は、広告に近い性質を持ちます。よって、費用は次のようなパーツで構成されがちです。

 

– 企画費(コンセプト、台本、訴求設計)

– 制作費(撮影、編集、字幕、BGM、スタジオ等)

– 掲載費(投稿・ライブ・ストーリー等の実施)

– 運用費(コミュニティ対応、コメント監修、投稿差し替え)

– 権利費(素材二次利用、広告転用、期間、地域、媒体)

– リスク費(炎上/薬機/景表/広告表記のレビュー・差し戻し)

 

この構造を理解すると、「フォロワーが多い=高い」ではなく、

「求める成果に対して必要な制作・権利・運用が増える=高い」という見方に変わります。

“広告表記”の厳格化は、実務コスト(=見積もり)に影響する

韓国では“뒷광고(ステルス広告)”が社会問題化し、行政が継続的に監視・是正を進めています。

広告表記を曖昧にすると、投稿修正・再投稿・契約変更などの追加工数が発生し、結果として「安い見積もりほど後から高くなる」ことが起きます。  

だからこそ、最初から「表記ルールを守る前提」で見積もりを組むことが、長期的には費用対効果を高めます。

 

フォロワー規模別:費用を“相場”ではなく“設計”で捉える

ここでは、よく使われる4階層で整理します(目安であり厳密な定義ではありません)。

まずは階層ごとの「向いている目的」を揃える

投稿単価を比べる前に、「何を達成するのか」を階層に合わせます。目的がズレると、いくら安くても成果が出ません。

 

※“単価”は数字で固定できないため、ここでは「上がる要因」を明確化しています。

 

見積もりをブレさせない「単価の作り方」3ステップ

単価の相場を探すより、見積もりをブレさせない作り方を持つ方が、交渉・比較・社内説明が圧倒的に楽になります。


ステップ1:KPIから逆算して“上限単価”を決める

例:ECで韓国向けに販売する場合、最終KPIは購入(CV)です。  

このとき、社内で許容できる「目標CPA」を置き、そこから逆算して1施策あたりの“上限コスト”を設定します。

 

– 目標CPA(許容獲得単価)

– 想定CV数(インフルエンサー経由の最低ライン)

– 上限予算 = 目標CPA × 想定CV数

 

CVが計測しにくい場合は、段階KPI(クリック、カート投入、会員登録など)で暫定的に上限を引きます。

ステップ2:投稿単価ではなく「権利込みCPM/CPV」を比較軸にする

韓国は短尺動画(Reels/Shorts/TikTok)が中心になりやすく、再生数ベースで比較するとブレが減ります。

 

– CPV(Cost Per View)= 総費用 ÷ 再生数

– CPM(Cost Per Mille)= 総費用 ÷(インプレッション/1000)

 

“投稿単価”が安く見えても、二次利用不可・広告転用不可だと、結局あとで広告素材を作り直すことになります。

比較軸を「権利込み」に揃えるのがコツです。

ステップ3:費用を「制作」「掲載」「権利」「運用」に分解して相見積もりする

見積もりは、総額比較よりも“分解比較”が有効です。  

同じ金額でも、どこにコストを割いているかで成果が変わります。

 

見積もりの罠:ここが抜けると「想定外の追加費用」になる

価格交渉で“安くする”より、後から増えない契約にする方が結果的に安くなります。

罠1:二次利用(素材の広告転用)を後出しすると高くなる

よくあるのは「まず投稿だけ」で発注し、成果が出た後に「広告に使いたい」「LPに載せたい」と追加するケースです。  

韓国では素材価値が高いほど権利費が上がりやすいため、最初から次を決めておきます。

 

– 二次利用の範囲:自社SNS / LP / EC / 店頭 / 公式動画

– 期間:何ヶ月か

– 地域:韓国のみか、グローバルか

– 媒体:オーガニックのみか、広告配信(whitelisting)も含むか

 

罠2:競合排他(独占)の範囲が曖昧だと、見積もりが跳ねる

「競合NG」は当たり前に出てきますが、範囲が曖昧だと交渉が崩れます。  

ブランド名単位なのか、カテゴリ単位なのか、期間は何ヶ月か。ここを定義しないと、後で“追加費用の根拠”にされます。

罠3:広告表記の運用(修正対応・再投稿)を契約に入れていない

表記ルールや審査が通らない場合、修正・差し替えが発生します。  

「何回まで修正対応するか」「再投稿時の費用負担」「炎上時の削除条件」を、最低限入れておくと揉めません。

プラットフォーム別:同じフォロワー数でも単価が変わる理由

「同じ10万人でも、なぜ見積もりが倍違うのか?」の答えは、プラットフォームの“制作工数”と“消費行動への距離”にあります。

Instagram(Reels/Story)|短尺×頻度で“検討”を押す

韓国でもReels中心の提案が増えています。尺が短い分、撮影回数や編集テンポが重要になり、制作工数が増えると見積もりも上がります。  

また、Storyでリンク導線(プロフィール誘導、リンクスタンプ等)を組む場合は、運用(差し替え・タイミング調整)が単価に乗りやすいです。

YouTube(Shorts/本編)|制作物の“資産価値”が高い=権利費に注意

YouTubeは制作物としての寿命が長く、検索流入も期待できます。その分、二次利用や広告転用の相談が起きやすく、契約で揉めやすい領域です。  

「本編+Shorts切り出し」「サムネ作成」「固定コメントでの追記」など、納品物を事前に定義すると見積もりが安定します。

TikTok|バズ期待より“検証回数”を前提に組む

TikTokは当たり外れが大きいため、単発の投稿単価で評価すると誤差が出ます。  

おすすめは、複数クリエイティブを小さく回して勝ち筋を見つけ、当たった表現だけを拡張(広告配信や二次利用)する設計です。結果として「最初は小さく、勝ったら大きく」ができ、長期的に費用対効果が安定します。

Naver(ブログ/カフェ)|“検索意図”に刺さると強いが、表記ルールを最優先

韓国では検索面でNaverが依然として強く、レビュー記事は検討層に効きます。ただし文字中心メディアは、冒頭で広告性が分かるようにする運用が重要になっています。  

投稿の冒頭に表示文言を置くか、どこまで明示するかは、KFTC(公正取引委員会)の監視強化の流れも踏まえて設計すべきです。

“長期的に強い”記事・施策にするための打ち手:単発より「継続×検証」

単価交渉を頑張るより、同じクリエイターと継続して学習を回す方が、多くのケースで成果が伸びやすくなります。海外の調査でも、継続的なクリエイターパートナーシップが増加傾向にあることが示されています。

1回で当てにいかず、3回で学習する(失敗確率を下げる)

– 1回目:訴求A(機能)で反応を見る

– 2回目:訴求B(比較・ランキング)で反応を見る

– 3回目:勝ち筋の訴求で“二次利用込み”に拡張する

この型にすると、単価の高低よりも「勝ち筋の再現性」に投資でき、社内説明もしやすくなります。

クリエイティブは“資産”として扱う(広告転用前提で設計する)

初回から「広告転用の可能性がある」前提で、縦型の安全領域、字幕の言語、薬機・景表相当の表現チェック、表記位置などを決めておくと、後工程の作り直しコストを減らせます。

日本企業が韓国で失敗しないための実務チェックリスト

社内説明・相見積もり・発注時に、次のチェックを揃えるだけでブレが減ります。

 

– 目的:認知 / 検索増 / 流入 / CV のどれか(優先順位付き)

– 施策設計:短尺動画中心か、レビュー中心か、ライブ併用か

– 計測:UTM/クーポン/アフィリエイト/ブランドリフトのどれで測るか

– 契約:二次利用、広告転用、競合排他、修正回数、納品物の仕様

– 表記:#광고 / #협찬 等、表示位置(冒頭/固定コメント等)のルール

– レポート:最低限の提出項目(再生/保存/クリック/コメントなど)

– スケジュール:韓国の大型連休・セール期(例:旧正月、秋夕)を避けた納期

 

まとめ:韓国インフルエンサーの「相場観」は“数字”より“設計力”で決まる

韓国インフルエンサー単価は、フォロワー数だけでは語れません。  

長期的に強い記事・強い施策にするなら、単価表探しをやめて「KPI逆算 → 権利込み比較 → 分解見積もり」の型で判断するのが最短です。

最後に、今日からできる実践ステップです。

 

1) 目的を1つに絞り、許容CPA(または段階KPIの上限)を置く  

2) 見積もりを「制作・掲載・権利・運用」に分解して相見積もりする  

3) 二次利用・競合排他・広告表記を“最初に”決め、追加費用の罠を潰す

   

この3つが揃えば、韓国市場でも「予算は使ったのに判断できない」を避けられます。

 


 

参照