SNSを味方につける!韓国人観光客の行動を変える旅体験マーケティング戦略

韓国は日本にとってもっとも近く、もっとも熱量の高い訪日市場です。コロナ禍からいち早く回復した今、彼らの消費行動を左右するのは紙のガイドブックではなくスマートフォンのSNSフィード。

旅の計画から体験共有、再訪決定までを一気通貫で動かす”韓国版SNSジャーニー”を理解し、自社商品・観光資源をどう組み込むかがマーケターの勝負どころとなります。本稿では最新統計・業界レポート・現場ヒアリングを横断し、韓国人観光客の心を動かす戦略を4ステップで詳細に解説します。継続運用できるチェックリストも盛り込みました。

1.韓国人観光客のSNS利用動向を読み解く

韓国は2024年に訪日客数881.8万人を記録し最多市場となりました。

彼らの旅マエ・旅ナカ・旅アトを貫く意思決定装置がSNSです。まずは利用実態を正しく把握しましょう。

主要プラットフォームの序列

NAVER検索とInstagramが情報源同率1位(65.5%)。 YouTube 63.9%、Google 59.7%、TikTok 11.8%、Facebook 6.7%。

年齢別特性

20〜30代はInstagram利用率70%超でリール動画の視聴時間が急伸。 40代以上はNAVERブログで長文レビューを精読し、BANDでコミュニティ共有。

旅ナカ行動

カカオトーク利用率98.9%。旅先で得た写真をグループチャットに即共有し、「次に行くべきスポット」をリアルタイムで追加。

購買後行動

購入品を70%が誰かに共有。クチコミが次の旅行者を誘発する循環構造。

NAVERで検索性を確保しつつ、Instagramで情緒を刺激し、カカオトークでリピータークーポンを配布する三位一体モデルが効果的です。

2.”思わず投稿したくなる”旅体験デザインの黄金則

韓国人は「シェア前提」で旅程を組みます。投稿したくなる4つの仕掛けを押さえましょう。

映えスポット設計

水に入るミュージアム「チームラボプラネッツ」のように、一目で唯一無二と分かる空間を用意。 夜間ライトアップや限定フォトブースなど、撮影導線を明示する仕掛けを忘れずに。

日本らしさ×最新トレンド

ドラマロケ地巡り、推し活向け聖地スタンプラリー、季節限定マッチャスイーツなど。 “소도시감성”(小都市感性)に響く地方体験:湯布院の朝霧、金沢の茶屋街、尾道のレトロ商店街。

グルメ×体験=二重シェア

札幌味噌ラーメン作り体験+店主との記念撮影をセットにするなど「やって・食べて・撮る」流れを設計。掛け合わせるとUGCが倍増。 また韓国では”음식 사진 우선(まずは料理写真)”という言葉があるほど、料理は旅行コンテンツの主役です。盛り付けに韓国語の小さなメッセージカードを添えるだけで投稿率が2倍になった飲食店の実験結果も報告されています。

3.拡散を最大化するキャンペーン&インフルエンサー活用術

良質な体験は”火種”。SNS上で爆発させるには燃料が必要です。

韓国人インフルエンサー起用

韓国語×日本旅行専門メガ(50万+)、ミドル(10〜50万)、マイクロ(1〜10万)の三層を用意。 フィード投稿+リール+ライブ配信を組み合わせ、複数日の「連続ストーリー」で旅行熱を高温維持。

オリジナルハッシュタグ+UGC循環

横浜市「myyokohama」はUGC36万件超。UGCを公式が即リポストする”称賛経済”が投稿意欲を増幅。

SNS口コミ×位置情報広告

旅マエのバズを旅ナカのGPS広告で再想起し、旅アトにECへ誘導。

マルチプラットフォーム最適化

Instagram=瞬間的憧れ、YouTube=詳細情報、NAVERブログ=比較検討。TikTokは次世代投資枠として実証実験を。

ケーススタディ

福岡市の商業施設「○○モール」は2024年10月、韓国女性インフルエンサー3名(合計フォロワー120万人)を招待し、館内の和菓子作り体験とファッション撮影会を開催。

  • Instagram総リーチ:320万
  • ハッシュタグ投稿:4,800件
  • 来店韓国人客数:キャンペーン前月比+42%
  • 免税売上:前年比+51%

 

ポイントは「撮る→買う→食べる」を90分で完結させる導線設計と、NAVERブログ用の高解像度写真パッケージを提供したことです。

4.効果測定と改善フレームワーク(KPI→PDCA)

実施後の改善なくしてROIは語れません。KPIツリーで可視化し、PDCAを高速回転させましょう。

フェーズ KPI例 目安値 分析頻度
認知 リーチ/インプレッション 100万以上 日次
興味 ハッシュタグ投稿数/保存数 前月比+30% 週次
行動 クーポン利用数/予約数 前年比+20% 週次
継続 リピート投稿率/再訪予約 15%以上 月次

 

Plan:KGIから逆算し、認知→興味→行動→継続の指標を連鎖させる。

Do:投稿クリエイティブ・広告配信・現地POPを統合実施。

 Check:SNS指標+POS・予約データ+人流データをダッシュボードで可視化。

 Act:ボトルネック特定後にABテストを実行し、改善策を次サイクルへ。成功パターンは社内ナレッジ化し全国展開へ横展開。

リアルタイム分析Tip

Googleビジネスプロフィールの韓国語クエリ数を毎日取得し、韓国祝日と任意キャンペーン開始日を重ねた折れ線グラフをSlackに自動投稿することで、瞬間的な検索上昇を逃さずプロモ広告に即反映する仕組みを導入する企業も増えています。数値とストーリー双方で評価し、打ち手を”高速微調整”する文化を根付かせることが韓国市場攻略の近道です。

CTポイント

  1. 今日からNAVERキーワードリサーチを始め、Instagramで英語・韓国語の両軸投稿をテストしましょう。
  2. 映え・グルメ・ストーリーの体験在庫を棚卸しし、足りない要素を企画に追加してください。
  3. インフルエンサーの候補リストを3層(メガ・ミドル・マイクロ)で作成し、次のキャンペーン設計をスタートしましょう。

 

まとめ

韓国人観光客攻略の核心は「SNS×体験」の掛け算です。

データで彼らのメディア行動を理解し、 シェア欲を刺激する企画を磨き、 インフルエンサーとUGCで拡散を設計し、 PDCAで改善を続ける——。 このサイクルを愚直に回すことで、地方の小さな温泉街でも、都心の大型施設でも、韓国市場から持続的に集客・売上を獲得できます。今日から自社の”映え資産”を洗い出し、NAVERとInstagramを起点に最初の一歩を踏み出してください。

国内消費が頭打ちの今、韓国市場は”近くて深い”成長エンジンです。

韓国語での接客体制やモバイル決済対応などオフライン施策と連携すれば、SNS施策との相乗効果で顧客満足度もリピーター率も大幅に向上します。ぜひこの記事を保存し、チーム内の勉強会で活用してください。


参照ソース

  1. 日本政府観光局(JNTO) – 2024年の訪日韓国人数は881.8万人で国別1位
  2. ENJOY JAPAN・CREATIP – 訪日韓国観光客のSNS・WEB情報収集調査
  3. KBS WORLD – ソーシャルメディアの利用率 全ての年齢でカカオトークが1位
  4. TAM – 横浜市公式Instagramアカウント実績紹介
  5. Find Model – インバウンド向けのSNS活用成功事例
  6. 韓国言論振興財団 – 2024ソーシャルメディア利用者調査